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家族間の資金移動は要注意

今年も残すところわずかになりました。
今年、弊所に寄せられたご相談を振り返ってみると、

家族間での資金移動

についてのご相談がとても多かったです。

家族間での資金移動で代表的なのは、贈与(お金をあげる/もらう)とお金の貸借(お金を貸す/借りる)です。お金を預ける/預かるということもあるでしょう。
また家族の誰かが他の家族の名義で勝手に口座を作って自分の資金を移動させていることもあります。この場合、表面上は家族間で資金が移動していますが、資金の真の所有者は変わらないため、実体としては資金移動は生じていないことになります。

家族間の資金移動では資金移動の性質が曖昧になりがちですが、それが後になってトラブルの原因となることがよくあります。

  • あげたつもりじゃなかったのに税務署から「贈与税を払え」と言われた・・・
  • 有価証券の名義が妻になっていたばかりに夫の相続税申告で計上し忘れて、後から追徴金がかされた・・・
  • 孫名義の預金は孫が当然貰えると思い込んで遺産分割協議の対象にしなかったら、他の相続人と揉めた・・・

などなど。

これを避けるには、資金移動の性質を自分自身ではっきりと認識し、それを客観的にも分かる形に残しておくのが大切です。

家族間での資金移動の代表例
① 贈与
② 貸し借り(消費貸借)
③ 実体の伴わない資金移動(名義上の移動のみ)
財産を無償であげるのか、一時的な用立てでお金を貸してあげるだけなのか、それとも単に名義上の移動に過ぎずお金は相変わらず自分のものなのかなど、資金移動の目的と性質をはっきりさせます。その上で、それに応じた対応を取ってください。

贈与であれば、非課税限度額を超える部分については贈与税を支払う必要がありますし、貸借であれば、返済や相応の利子の支払を行うことになります。


③の実体の伴わない資金移動は、特に注意を要します。

実体の伴わない資金移動の代表的な例が、名義預金です。

夫の稼いだお金を専業主婦の妻名義の口座にそっくり移していたり、親が子や孫の名義の口座に自分の資金を分散させていたり、といったケースです。名義預金はそれ自体が悪いというわけではなく、やってしまいがちなのですが、後々の税務リスクや遺産分割リスクを考えるとやめといたほうが無難です。実際、相続税の税務調査で最も狙われるのは名義預金の計上漏れといわれます。

相談者の中には「すでに名義預金を作ってしまった」とおっしゃる方が多いです。この場合、通常は、名義預金の解消をおすすめしています。つまり、別の家族名義になっている自分の預金を自分名義の預金口座に戻すということです。戻すときに贈与税はかかりません。

相続税対策で贈与をしたいなら、まず名義預金をリセットして自分名義の口座に戻し、お金の本来の所有者とお金を預けている口座の名義人を一致させてから、贈与を行います。

贈与を行うときは、客観的に見ても贈与であることがはっきり分かるように証拠を残しておきましょう。
・贈与契約書を作成し、あげる人ともらう人の双方が署名捺印する

・非課税限度額を超える贈与について、もらった人が贈与税申告を行う

・お金をもらう人が実際に使っている口座に贈与する
   届出印と届出住所はお金をもらう人のものを使う
   通帳・印鑑・キャッシュカードはお金をもらう人が自分で管理

など、客観的にも贈与であることが分かる証拠を残しておく

※贈与税申告をすることも証拠の1つにはなりますが、それ単独で贈与と認められるわけではありません。
お金の貸し借りの証拠
・消費貸借契約書を作成する(元利金の弁済方法を定めておく。公証役場で確定日付を取るとなおよい。)
・元利金の返済実績を残す
 
名義預金のある方が相続税対策をしたいなら、まずは名義預金のリセットからはじめましょう。

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