【執筆者:税理士 得田真由】
「相続人代表者がまとめて支払う」で問題ない?
相続税の納付は通常は銀行か税務署で行いますが、窓口で本人確認されたり、委任状の提示を求められることもありません。
納付書は相続人ごとに作成され各相続人の納付額が記載されています。納付書をまとめて窓口に持参して、現金一括で納付しましょう。
相続税をまとめて支払うのはどんなとき?
相続税を相続人の代表者がまとめて支払うのはめずらしくありません。
「相続人がそれぞれ納付するのは面倒だから」という単なる便宜上の理由だったり、相続税は高額なので納付期限内に支払うのが難しい相続人に代わって資力のある相続人が立替払いするというわけです。
連帯納付義務が生じるのを回避するため、その相続人には相続税分を差し引いた預金を渡して、相続人代表者がその人の分の相続税もまとめて支払うこともあります。
相続税をまとめて支払うときは注意!
相続税を立替で支払う場合、一時的な立替であれば問題ありません。
しかし、清算しないまま放置すると、「みなし贈与」といって実質的に贈与があったとみなされてしまう危険があります。
みなし贈与と判定されると、贈与税の基礎控除額である年間110万円を超える金額には贈与税がかかります。
そうならないためには、相手に清算時期を確認し、なるべく速やかに清算してもらうようにしてください。
一時的な立替ではなく「相続税を肩代わりして負担してあげた」というのなら、それだけでみなし贈与に該当し贈与税の対象となります。
お父さんが亡くなってお母さんとお子さんが相続人。お母さんがお子さんの分の相続税も負担して支払ってあげる、というケースはしばしばあります。
この場合、贈与税の基礎控除額110万円以内なら特に問題ありませんが、それを超える金額ですとお子さんに贈与税の申告と納税の義務が生じるので注意しましょう。
まとめ
相続税の申告であれば財産を受け取った本人か代理人の税理士しか行うことはできませんが、相続税の納付は本人でなくても行えます。
相続人に限らず誰でも窓口に行って本人に代わりに支払うことができます。
注意点として、立替え払いの場合や支払いの肩代わりの場合には、支払ってもらった人に贈与税がかかることがあります。