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視覚障害があっても遺言書を作れますか?

相続遺言相談室 on the web

 
私には視覚障害があります。
遺言書を作りたいのですが、どうすればいいですか?
今回の記事では、視覚障害をお持ちの方が遺言書を作るときの注意点についてまとめました。

キホンは公正証書遺言で

視覚障害と一口に言っても個々の事情はさまざまに異なります。その中で全般的におすすめできるのが公正証書で遺言を作成する方法です。

目が不自由でも話す能力と聞く能力に問題なければ、遺言を公証人に口述し、公証人が書き取った内容が正しいかどうか読み聞かせてもらうことができます。

遺言書の原本には遺言者が署名捺印をする必要があります。

障害の程度によっては署名捺印が難しい方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これに関しては、公証人が代理で行うことが認められています(公証人による代署と代印)。

公正証書遺言の作成には費用と手間がかかるものの、視覚障害者でも問題なく遺言書が作成できる仕組みが整っています。

特に事情がなければ、公正証書遺言にしましょう。

ただし、文案の作成や提出書類の収集といった事前準備が自分だけでは難しいと思われますので、家族や専門家のサポートが必須です。

自筆証書遺言でもOKな場合

公正証書遺言にするほどではないとして、手軽な自筆証書遺言を選ぶ人は多いです。しかし本人も気づいていないミスによって遺言書が無駄になる例が後を絶ちません。

こと目の不自由な方の場合、自筆証書遺言で失敗するリスクは通常よりもずっと高い。

というのも、自筆証書遺言はその名の通り、「自ら筆を取って書くこと」が要件となっているからです。

視覚障害者で自分で文字が書けないと、この要件を満たすことができないのです。

点字で書かれた自筆証書遺言や代筆による自筆証書遺言は無効です。

代筆でなく「手を添えた」程度で、他者の意思が介在した痕跡がなければ、有効と判断されるケースもあります。

しかし実際問題として、それが具体的にどこまでを指すのか、判断が難しく、せっかくの遺言書が自筆能力が無かったとして無効になる危険があります。

自筆証書遺言でも辛うじてOKなのは、視覚障害はあっても、他人が判読できるような文書を自力で書くことができて、署名捺印も自分でできるというようなケース。

それに該当しない視覚障害者の方は、自筆証書遺言は止めた方がいいでしょう。

秘密証書遺言という手も

秘密証書遺言は、公正証書遺言や自筆証書遺言と並ぶ遺言書の作成方式の一つです。

めったに使われないのですが、例外的に、視覚障害をお持ちの方が遺言書を作る際には検討の余地があります。

というのも、秘密証書遺言では点字を使うことができるからです。

点字だけでなくパソコンやワープロで作成しても構いません。

自筆能力に問題があっても、こうした道具を使うことで自分の意思を書面にできるなら、公正証書でなく秘密証書遺言を選ぶという選択肢もありです。

秘密証書遺言なら遺言書の中身を公証人や証人に見られる心配がないので、プライバシーの漏えいも最低限に抑えられます。

ただし、秘密証書遺言の利用にあたっては、

  • 署名捺印は自分でする必要があること
  • 自分を封をした遺言書を公証役場で証明を受けること
  • 証明の際に所定の手数料がかかること

は押さえておきましょう。

秘密証書遺言の証明にかかる必要は公証人手数料が11,000円。これに証人への謝礼が加わります。

ただし、秘密証書遺言を作って公証役場で証明を受けるだけで終わってしまうと、遺言書の内容と保管方法に関してリスクが残ります。

間違いのない遺言書を作るには、専門家による中身のチェックは絶対に受けた方がいい。また、公証役場では秘密証書遺言の保管まではしてくれないため、自宅等でしっかり保管する必要があります。

まとめ

目の不自由な人が遺言書を作るには?

原則:公正証書遺言

ただし、

自分の肉筆で本文が書けて、署名捺印もできるなら自筆証書遺言もあり

点字やワープロで本文が書けて、署名捺印もできるなら秘密証書遺言もあり
 
障害があってもなくても、安心安全な遺言書を作りたいものですね。

目が不自由な方が安全な方法で遺言書を作りたいと思っても、そうした情報へのアクセス自体が制限されている場合があります。

記事をお読みになった皆さんが、もし相談を受けたら、ぜひこの内容を教えてあげてください。

MEMO

発話に不自由がある人の公正証書遺言
遺言者による口述の代わりに、手話通訳による口述、または筆談でも作成できます。

聴覚障害がある人の公正証書遺言
公証人による読み聞かせの代わりに、公証人の読み聞かせを手話通訳に伝達させる、または閲覧させる、という形でも作成できます。

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