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相続税がかかる意外な財産5選

相続税の計算は複雑で、どのような財産が対象になるのか、きちんと把握するのは思いのほか困難です。

家や土地、銀行預金のような財産が相続税の対象になることは皆さんよくご存じと思います。

しかし、それ以外にも意外な財産が相続税の対象となることがあります。
そうした財産についてよく知らないと相続税申告から漏れてしまい、後で税務署からペナルティや延滞税を請求されてしまうしれません。

この記事では、そうした「え、それにも相続税がかかるの?」と驚かれがちな財産について解説します。
目次

その1:亡くなる直前の引出し

被相続人が亡くなる直前に預金を引き出した場合、引き出した現金は相続税の対象となります。
相続税の申告書には現金として申告します。

亡くなるまでに生活費や医療の支払などでご本人や家族のために使った分があれば、それらを差し引くことができます。
領収書を整理して、控除可能な金額を集計しましょう。

相続税の対象となる死亡直前の引出し=引出した金額-死亡日までに使った金額
死亡直前に引出した現金をお亡くなりになった後で、葬式費用や入院費用の清算に充てることも多いでしょう。
これらは、死亡直前の引出しからの控除ではなく、葬式費用や未払金として別途控除してください。

その2:名義預金

名義預金というのは、被相続人がお金を出している口座の名義人が被相続人以外の者である預金のことです。

例えば、被相続人の妻名義で預金口座を開設し、その預金に被相続人が入金している場合、その預金は名義預金に該当します。


名義預金は相続税の対象となります。

これは、たとえ名義人が違っていても、名義預金は実質的には被相続人の財産と考えられるためです。

ある口座が名義預金に該当し、相続税の対象となるかどうかを判断する際には、

・預金の出所はどこか
・誰が預金を管理していたか
・名義人は預金の存在を知っていた
・生前に被相続人から贈与を受けていたか

といった点を総合的に勘案して判断します。

相続税申告する際に名義預金は非常に漏れやすいのですが、税務署は名義預金の計上漏れには特に目を光らせています。
税務調査で発覚するとペナルティや延滞税が多額になることもあり、特に注意が必要です。

株式や不動産、保険金といった預金以外の財産についても、名義人と実際の所有者が異なる場合があります。
この場合も名義預金と同様、実質的な所有者は被相続人であるとして相続税の課税対象となります。

その3:相続開始前3年以内の贈与

相続税の計算では、相続や遺贈で受け取った財産だけでなく、相続開始前3年以内に行われた暦年贈与も相続税の対象となります。
これを生前贈与加算といいます。

生前贈与の目的は、相続税対策としての駆け込み贈与を防ぐことにあります。
駆け込み贈与によって相続税の負担を軽減しようとする行為を防止し、相続税の納税を公平にするためのものです。

生前贈与加算には、贈与時に贈与税がかかっていたかどうかは関係ありません。
基礎控除額110万以下の贈与財産であっても、相続税申告時に財産に加算して計算します。

贈与時に贈与税を支払っていた場合には、その税額について、相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額から控除することができます。

ちなみに生前贈与の加算期間は、令和6年以降に贈与された財産については、現在の3年から段階的に7年までに延長されることが決まっています。

その4:相続時精算課税制度により取得した贈与

相続時精算課税制度とは、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度で、納税者の選択によりこの制度を利用することができます。
この場合、贈与を受けた時には2,500万円までは贈与税がかかりませんが、相続時には贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額で相続税額を計算し、一括して相続税として納税することになります。

したがって、過去に相続時精算課税制度により取得した贈与財産はすべて相続税の対象となるため、これを忘れずに申告する必要があります。

こちらについても税制改正が行われ、令和6年以降の相続時精算課税制度については、年110万円まで贈与であれば、相続税の対象にならないこととなりました。年110万円を超える贈与については、これまでと同様に相続税の対象となります

その5:教育資金非課税制度による贈与

教育資金非課税制度とは、親から子、祖父母から孫などに対して教育資金を贈与する際に、一定の手続きを踏めば、最高1,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。

この制度では、信託銀行などの金融機関に専用の口座を開設し、贈与者は受贈者の口座に資金を振り込むことにより贈与を行います。

口座にある、教育資金として使用しなかった残高のことを管理残高といいます。

贈与者が死亡した時点で管理残高が残っていれば、その残高に相続税にも相続税がかかることがあります。

管理残高に相続税がかかるかかからないかは、資金を口座に振り込んだ時期により異なります。

・平成31年3月31日までに資金拠出が行われていれば、死亡時に管理残高が残っていたとしても、相続税はかかりません。
・平成31年4月1日から令和3年3月31日の間に資金拠出が行われていれば、死亡前3年以内の拠出分についてのみ、相続税がかかります。
・令和3年4月1日以降に拠出した教育資金の管理残高にはすべて相続税がかかります
注意
ただし、これには例外が設けられおり、以下の場合には、拠出時期にかかわらず、管理残高があっても相続税はかかりません。

贈与者の死亡時に
・受贈者が23歳未満のとき
・受贈者が学校等に在学しているとき
・受贈者が職業訓練給付金の支給対象となる職業訓練を受講しているとき

この記事では一般には相続税がかかるとは思われていないことが多い財産を5つご紹介しました。
相続税申告から漏れてしまいがちな財産でもあり、税務調査の際に指摘を受けやすいポイントです。
該当する財産があるかどうか、慎重に確かめましょう!
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