【ご相談】
父親が亡くなり、遺産相続の手続きを進めています。
生前の生活や職業などから「ひょっとすると借金を抱えていたかも」と懸念があるのですが、自分自身は法律や手続きに詳しくないため、どうしたらよいものか悩んでいます。
放置は危険!早急に借金の調査を
故人に借金があるのに気付かず放置していると、その借金を相続人が引き継いでしまう危険があります。
生前の職業や生活状況から「親に借金があったかもしれない」という懸念があるときは、曖昧なまま放置せず、早急に調べてはっきりさせるべきでしょう。
具体的な調べ方をご説明します。
借金を抱えていた場合、返済を促す連絡が定期的に届いていることが多いです。
そこで、まずは故人の自宅に以下のような資料が残っていないか確認しましょう。
- 通帳(カードローンの引き落とし記録や本人による借入の記録がないか)
- 契約書(金銭消費貸借契約書、借用書など)
- 督促状、請求書、内容証明郵便
郵便受けも忘れずにチェック。督促の電話がかかってくることもあります。留守電の内容も確認してください。
消費者向けの借金については、以下の信用情報機関で生前の借金を調べることができます。
- CIC(クレジット会社からの借金)
- JICC(消費者金融からの借金)
- KSC(銀行からの借金)
法定相続人は、これらの情報機関に情報開示請求を行うことができます。
その際、本人確認書類や戸籍謄本、住民票除票など提出する必要があります。
この手続きはやや複雑ですが、法定相続人から委任を受けた行政書士や税理士などが代理人として開示請求することもできます。
「面倒でなかなか腰が上がらない」いう場合は、専門家に依頼してしまうのも手です。
借金が見つかった場合の対処法
亡くなった親が借金を抱えていた懸念があって調査をした結果、やっぱり借金が見つかったとしましょう。
親の借金は相続財産に含まれるため、それを相続してしまうと子供が支払わなければならなくなります。
どうすればいいでしょうか?
家庭裁判所で相続放棄の手続きをすれば、借金を支払う必要はなくなります。
ただし、相続放棄には期限がある(原則、相続権があることを知った時から3か月以内)と、相続放棄をするとプラスの財産も相続できなくなることには注意が必要です。
親に借金があるかどうかの調査中に、知人や親族が現れて借金の返済を要求することもあるかもしれません。
ここで借金を返してしまったり、返す意思を示したりすると、相続放棄ができなくなる恐れがあります。
このような場合には、借金の調査中であることのみを伝えるようにしましょう。
借金の調査には意外と時間がかかります。
「借金が判明したときにはすでに相続放棄の期限を過ぎていた…」という事態は避けたいものですね。
亡くなった親に借金の懸念がある。でも、どうしていいかわからない・・・
そんなときは、ぜひ早めに相続の専門家にご相談ください。