白洲次郎の遺言書

有名人の遺言事情

以前の記事で遺言書を書く意欲を高める方法の一つとして「有名人の遺言書に学ぶ」ことを提案しました。

その中でマイケル・ジャクソンの遺言書の内容を紹介したのですが、日本人が書いた遺言書の例として白洲次郎にも触れました。

この記事では、白州の遺言書について少し掘り下げて紹介しましょう。

たった二行の遺言書

連合国軍占領下の日本で吉田茂の懐刀として活躍した白洲次郎。
日本人離れしたスマートな風貌もさることながら、一本筋の通った言動がとにかくかっこいい。彼のような生き方に憧れる人も多いことでしょう。

その白州の遺した遺言書の本文には、

一、葬式無用

一、戒名不用
とだけ書かれていました。

たった二行の遺言書。潔くて素敵ですね。

でも、お客様の遺言書作成をお手伝いしている者としては「ちょっと待った!」と言いたい。

皆さんが遺言書を書くときに白州の遺言書を真似してはいけません。

たとえ憬れの白洲次郎に倣いたくても、遺言書まで白州流にするのは危険です

葬儀の希望は遺言書に書かない

白州が遺言書に記したのは「葬式」と「戒名」に関する自らの希望でした。

これらは遺言書に書いても法的な効力がありません。

遺言によって法的に有効となる事項は法律で決まっていて、それに葬式や戒名に関する希望は含まれていないのです。

遺言書に書いても、それは単なるお願いで、強制力はありません。

だったら、遺言書に書かなくてもいい。

葬儀についての希望であれば、むしろ、遺言書に書かないほうがいい。

というのも、遺言書が読まれるまでに時間がかかり、葬儀に間に合わないことがあるからです。

自筆証書遺言であれば、相続人が勝手に封を開けてはならず、家庭裁判所での検認が必要です。検認までに短くても1か月はかかります。

公正証書遺言であれば、封をせずに手元に置いておけるので、死後すぐに相続人が見つけてくれれば問題ありません。でも、封をしない状態だと生前に見られてしまう可能性があり不用心です。

葬儀についての希望は、遺言書ではなく、

  • 親しい人に伝えておく  又は
  • 遺言書とは別にエンディングノートなどに書いて、見つけて貰いやすい場所に置いておく
ことにしましょう。

葬式の方法について法的効果を持たせたい場合には、死後事務委任契約を締結するやり方もあります。

まとめ

白洲次郎が遺した遺言書は、現代の言葉でいうと、エンディングノートなのだと思います。シンプルでミニマムな究極のエンディングノートです。

白州自身の筆で「遺言書」とは書かれているものの、法的な意味での遺言書ではない。

遺産分割協議を回避したり、財産の分け方を指定したりできるわけではなく、相続対策には役に立ちません。

この有名な遺言書とは別に、彼が法的な遺言書として自筆証書遺言や公正証書遺言を遺していたかどうかは不明です。

ただ、白州は「生者は死者の為に煩わさるべからず」という梅原龍三郎の書に感銘を受けていたと言われています。

相続トラブルに悩む人が多くなった現代にもしも白州が生きていれば、きっと、これとは別に正式の遺言書も遺しただろうと思うのです。

憬れの白洲次郎に近づきたい!という人向けには、
抜かりのない遺言書+シンプル&ミニマムなエンディングノート
の作成をオススメします。
この遺言書の実物は、旧白州邸を記念館に改装した「武相荘」で見ることができます。

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弊所のある登戸からは小田急線ですぐ近く。都心からのアクセスも良好な里山にある古民家です。

有名人の遺言書に学ぶなら、ネットの情報だけでなく、一度は実物も見てみたいもの。

行ったことのない方は、ぜひ訪れてみてくださいね。

私も数年前に行きましたが、アンティークのバーカウンターを見てすっかり白洲さんのファンになりました^^。シンガポール風の海老カレーや裏山の散策も楽しめます。日帰り旅行におすすめのスポットです。 
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