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特別受益 とくべつじゅえき
目次
特別受益(とくべつ-じゅえき)
共同相続人の中の特定の相続人が、被相続人から受けた遺贈、または婚姻、養子縁組、生計の資本として受けた贈与のこと。
相続人間の公平を図るため、相続分の算定上、考慮される。
法テラス・法律関連用語集
Received Special Benefit
特別受益と相続分の算定
各相続人の相続分を求めるのに用いる
特別受益があるときの相続分の求めかた
まず相続財産に特別受益を加え、それを相続財産とみなす。(特別受益を加算することを「持戻し」という)
↓
その相続財産を基礎として各相続人の暫定的な相続分を求める。
↓
特別受益を受けた相続人の実際の相続分は、暫定的な相続分から特別受益分を控除して求める。
まず相続財産に特別受益を加え、それを相続財産とみなす。(特別受益を加算することを「持戻し」という)
↓
その相続財産を基礎として各相続人の暫定的な相続分を求める。
↓
特別受益を受けた相続人の実際の相続分は、暫定的な相続分から特別受益分を控除して求める。
なぜわざわざこのような計算をするのか?
相続人間の平等を図るため。
特別受益の趣旨
遺産分割にあたって特定の相続人が前もってもらっていた分を清算して相続人間の平等を図る
特別受益の範囲
・遺贈
・生前贈与
・婚姻・養子縁組のための贈与
・生計の資本としての贈与(扶養義務による援助は含まない)
・生命保険金
特別受益の評価
・特別受益額は相続開始時点での時価で評価する。
・贈与した財産が相続開始時点ですでになかった場合、あったものとみなして、相続開始時の時価で評価する(財産がなくなった原因が受遺者の行為によるとき)
Notes
- 持戻免除の意思表示
亡くなった人が生前に遺言などで持戻免除の意思を表示していた場合には、持戻しをしなくてもかまわない。
- 配偶者に対する持戻免除の意思表示の推定規定
次の条件を満たせば、実際には持戻免除の意思表示がなくても意思表示があったものと推定し、持戻しを行わないこととできる。
・受贈者又は受遺者)婚姻期間が20年以上の配偶者に対する贈与又は遺贈
・対象となる財産)居住の用に供する建物またはその敷地
※配偶者保護のために改正された制度 - 遺留分の算定で考慮する贈与は10年前までの贈与
遺留分の算定に含める相続人への生前贈与は、相続開始までの10年間に行われた特別受益としての贈与に限る。※民法の改正
ただし、10年超前の贈与なら何でも無条件に遺留分の計算から外せるわけではない。
遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与は、期限を問わず遺留分の算定に加えなければならない。
ひとこと
特別受益、特に生前贈与は、もらったかもらってないのか、いくらもらったのかなど不明瞭なことが多く、揉める原因になりがちです。
特定の子に生前贈与をした人は、遺言書で「持戻しをしない」と書いておくと、遺産分割で特別受益について考慮しなくてもよくなるため、争族リスクを軽減できます。
生前に行った資金援助について遺産分割で子ども同士が揉めそうなら、遺言書を書いて持戻しの免除をしておくと揉めるリスクを引下げられます。