相続人に障害者や認知症の人がいる
相続人に障害者や認知症の人がいる場合
相続人に障害を持つ人や認知症の人がいる場合に注意すべき点はありますか?
昨今では障害者の認定を受けている方や認知症を患う方の人数が急増しています。それに伴って、相続人の中に障害を持つ方や認知症の方がいるケースもよく見られます。
このような相続では、遺産分割や相続税申告において、以下のような特別な注意が必要です。
遺産分割上の注意点-判断能力の有無
相続では、遺言書が遺されていない場合、原則として、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を相続するかを決める必要があります。
しかし、相続人の中に知的な障害や認知症のために判断能力が低下している人がいると、その人は協議で意思表示して、遺産分割協議書に署名捺印することができません。
他の相続人がその人の代わりに代筆や署名すればいいのではと考えるかもしれませんが、そのような行為は発法的に無効ですし、私文書偽造の罪にもなり得るため、非常に危険です。
相続人の中に判断能力が低下している障害者や認知症の人がいてそのままでは遺産分割協議ができないときには、原則的に成年後見制度の利用が推奨されます。この制度により、その人の代わりとなる後見人が遺産分割協議に参加することができます。
成年後見制度で後見人を選ぶ手続きは家庭裁判所への申立てにより行います。家庭裁判所は面接や鑑定、調査を行った後、後見人の選任を承認しますが、申し立てのための書類の用意や家裁でのプロセスに時間がかかる場合があります。
相続人の中に判断能力に疑義のある人が含まれている場合で、相続税申告など期限のある相続手続が控えているときは、後見人の選定にかかる時間も考慮に入れ、早めに相続手続きを進めることが望ましいです。
相続税申告上の注意点-障害者控除
相続税の申告では、障害者控除を適用して、相続税の負担を軽減できる場合があります。
これは、相続人である障害者が、親族の死後に多額の相続税が課されることによりその後の生活が立ち行かなくなることを防ぐために設けられている制度です。
障害者控除は、相続税の総額から一定額を差し引くことができるため、大きな節税効果が見込めます。
相続税の障害者控除はもちろん障害を持つ方が対象ですが、それ以外にも85歳未満であるなどいくつかの要件を満たしている必要があります。認知症の人も、要件を満たしていれば、障害者控除の対象となります。
障害者控除の障害者には一般障害者と特別障害者の2種類があり、どちらに該当するかで控除額が変わります。また、その障害者が以前の相続で障害者控除を受けているときは、控除額が減額されることもあります。
障害者本人の障害者控除額がその相続税額を超える場合、残りの控除額をその扶養家族である相続人の相続税から控除することができるという規定もあります。
このように一口に障害者控除と言っても、その内容はかなり複雑です。しっかりと規定を確認し、控除漏れや適用の誤りが無いようにしたいものです。
相続人が障害者や認知症の場合の相談先
相続人の中に障害者や認知症の人が含まれているというのはよくあるケースですが、相続手続き上は通常の相続とは異なる注意点がいくつもあり、慎重に進める必要があります。
このような相続に精通した専門家に早い段階で相談するのが望ましいでしょう。
とくだ行政書士税理士事務所は、相続人の中に障害者や認知症の人が含まれる相続を重点的にサポートしております。お困りの方やご心配の方はぜひ一度ご相談ください。