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遺言書はなぜ「縁起でもない」のか?

相続遺言相談室 on the web

 
遺言書を書かなきゃとは思っています。

でもいざ書こうとすると重苦しく感じてしまい、なかなか書けません。

遺言書ってなんだか不吉じゃないですか?

世間一般に遺言書のイメージって決して良くはないですよね。

縁起でもないとか、不吉だとか、とかく負のイメージが付きまといます。

「遺言書がないと後で家族が困るから」と頭では分かっていても、いざとなると筆を取る気になれない人が多いのは、多分にこのイメージが影響しているのではないでしょうか。

でも、それに囚われて遺言書が書けないのは、もったいない。

このブログでも何度か説明しているように、遺言書というのは最も手軽で効果の高い相続対策なのです。

以下では、遺言にまつわるイメージについて考えてみました。

目次

遺書と遺言

日本で遺言が普及しない理由としてよく言われるのが、

遺書(いしょ)と混同している

というものです。

確かに、遺言(ゆいごん/いごん)と遺書(いしょ)は字面からして似ていますね。

死後のために言い遺す言葉、という意味ではどちらも同じです。

だから、一般の方が遺言と遺書を同じイメージで捉えがちなのも無理はありません。

混同しているというより、遺書(いしょ)のイメージに引っ張られて「縁起でもない」と感じてしまうのだと思います。

でも、遺言書を書くにあたって、このイメージはぜひ改めていただきたいのです。

相続対策で言う遺言(ゆいごん/いごん)は、遺書(いしょ)とは別物です。

『広辞苑』で「遺言」を調べてみると。次の2つの意味が載っています。

①死に際にのこすことば

②自己の死亡後の財産や身分に関する一定の方式に従った単独の意思表示で、死亡によって効力が生じるもの

①はなんだか漠然としていますね。遺書(いしょ)のイメージが這入りこむ隙がありそうです。

いっぽう、②は法律用語としての遺言の定義です。

遺言を書くことで相続トラブルを防止できるとか自分の望むような遺産分けができるというときの遺言とは、②の意味でのものです。

この遺言とは、「死後の財産の分け方について、法律の定めに従って書かれる文書」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

単なる法律文書に過ぎないものを、わざわざ不吉さや縁起の悪さと結び付けて捉える必要もないということです。

もしあなたが遺言書に不吉なイメージを持っているなら、無意識のうちに①の意味で考えてしまっているのかもしれません。

そのままでは遺言書を書くのが気持ちの上でツラい作業になってしまいます。

頭の中で①と②をはっきり区別し、②の遺言書を書くんだという明確な意識を持って取り組むといいのではないでしょうか。

遺言と生命保険

相続対対策としての遺言書というのは、遺書よりも生命保険に近い存在といえます。

遺言と生命保険はどちらも自分の死後に備えるものですから。

でも、世間一般のイメージという点で、遺言と生命保険はまったく違います。

生命保険に不吉なイメージを抱いている人はほとんどいないように思います。

遺言書を勧めて「縁起でもない」と気分を害されることはあっても、生命保険を勧めてもそんなことにはなりません。

生命保険の世帯加入率が9割を超えているのに対して、死亡者数に占める遺言書の割合は1割にも満たないと言われています。

遺言と生命保険。死後に備えるという点では同じ性質にも関わらず、真逆のイメージが定着しているのはなぜでしょうか。

一番の理由は、時期の違いだと思います。

生命保険は30~40代の比較的若い元気な時期に加入することが多い。

遺言は高齢になり健康不安を感じてから、書かれることが多い。

「死後に備える」という点では同じでも、死への距離感がまるで違う。

より死に近づいた時点で書かれる遺言書が負のイメージを帯びがちなのはそのためでしょう。

ちなみに、死の間際に書かれる遺書(いしょ)が最も強く忌避されているのも、この距離感のせいでしょう。

遺言書を書き始める時期

遺言書は、ないよりはあったほうが絶対いいのです。

ただ、年齢を重ねたり、健康不安が高まるほど、気持ちの上で、遺言書を書くのが難しくなる。

生命保険の加入時にはリアルに感じていなかった自分の死が近づくにつれ、それを想起させるものを遠ざけたくなるのは自然なことです。

自分の死後の事なんて考えたくない、という気持ちになります。

その一方で、遺言書を書くように家族に言われたりして。

頭では遺言書を書かなきゃと考えていても、心の中は遺言書を書く気分にならないという状態はツラいですよね。

だからこそ、遺言書は早い時期に書き始めることをおすすめします

生命保険のように30~40代とまでは言いませんが、50~60代で一度書いてみるのはいかがでしょうか?

まだまだ元気なこの年代でなら、自分の死後のことを、余計なイメージに振り回されず冷静に考えることができます。

まとめ

遺言書はとかくマイナスのイメージをもたれがちです。

でも、不吉だとか縁起でもないと思っていては、遺言書を書くのが重苦しい作業になってしまいます。

相続対策としての遺言は遺書(いしょ)よりもむしろ生命保険に近い。

大切な人を守ることができるという点で、「遺言書はめでたい」と表現する専門家もいます。

遺言書を書くと決めたら、余計なイメージに惑わされないことも大切だと思います。

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