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遺言の適齢期は思ったよりずっと早い

相続遺言相談室 on the web

 
いくつになったら遺言書を書けばいいですか?
目安となる年齢があれば教えてください。

遺言書を書くのに適した年齢、つまり遺言書の適齢期ですね。

これ、気にされている方は多いですね。

個別の事情によって遺言書の適齢期は異なるというのが答えなのですが、そうはいっても、一般的な目安を知り合いという気持ちも分かります。

そこで、今回は、遺言書を書き始めるのにおすすめの時期について記事にしました。

遺言は高齢になってから書くもの?

一般的に、遺言は高齢になってから書くものだと考えられているようです。

数字でいうと、後期高齢者に分類される75歳以降くらいでしょうか。

最近の高齢者は元気な人が多いですから、ひょっとすると、さらに上の年齢をイメージするかもしれませんね

でも実際のところ、遺言書の適齢期は、世間一般に考えられている年齢よりも、もっとずっと若いのです。

遺言書の適齢期

お客様の遺言書の作成をお手伝いする中で私がしばしば感じるのは、遺言書には

  • 人に書かされる遺言
  • 自分から主体的に書く遺言

の2種類があるということです。

前者は家族などから頼まれて書く遺言です。
はっきりそう言われなくても周りの空気を読んで書く遺言もこれに該当します。

書かされるというと言い過ぎかもしれませんが、つまりは遺言書作成にあたってのモチベーションが、

遺言者本人のモチベーション<他者のモチベーション

になっている状態です。

この種の遺言書が書かれるのは一般に高齢になってから。

世間一般で考えられている遺言の適齢期がまさにこれにあたります。

一方、後者の「自分から主体的に書く遺言」の適齢期はもっと前に来ます。

目安となるのは、50代~60代

人によっては、30代、40代で書いても何ら問題ありません。

要は、

遺言書は、気力・体力が充実している年齢で書くのがいい

ということです。

自分の財産をどう受け渡すかを主体的に考え遺言書というかたちにまとめるには、気力・体力、特に決断力判断力が必要です。

これが自分に十分に備わっているうちに書いておく。

その時期を逸してしまうと、遺言書は「自ら主体的に書く遺言」から「人に書かされる遺言」になってしまいます。

書かされる遺言が一概に悪いというわけではないのですが、遺言者本人にとって遺言を書くのがツラい作業になりがちです。

だからこそ、遺言書は、世間一般で考えられているよりもずっと若い年齢で書いてみることをおすすめします。

高齢になってから遺言を書くことの心理的なハードルについては、以下の記事でも触れています。

ファースト遺言という考え方

「でも、そんなに早く遺言書を書いても、その後、状況が変わったらどうするの?」という心配があるかもしれません。

もちろん、その後の生活で財産は変動しますし、財産の分け方についての自分の考えも変わるかもしれません。

50代で作った遺言書が80代になってもそのまま通用するということはありません。

遺言書は一度書いたら終わりというものではなく、人生の中で何度か書き直すもの、と考えてください。

気力・体力の充実した比較的若い年齢で「ファースト遺言(はじめての遺言)」を書いてみる。

その後、状況が変わって遺言書の内容を改める必要が生じたら、都度、書き直せばいい。

一度書いた経験があれば、書き直しは楽にできるものです。

将来的に書き直すことを前提に考えると、遺言書は手軽に作れるほうがいいですね。
従来の公正証書遺言だと作成に手間も費用もかかります。
最終的には公正証書にするとしても、それまでは自筆証書遺言でもいいでしょう。
保管制度で法務局に遺言を預けている場合でも、古い遺言を撤回して新しい遺言を預け直すことができます。

遺言書は今後の人生設計とセットで考える

比較的若い年齢で遺言書を書き始める場合に、併せておすすめしたいのが

遺言書をライフプランと一緒に作ってみる

というアイデアです。

人生100年時代といわれます。仮に50代で遺言書を書こうと思ったとして、人生の折返し地点を曲がったばかりというタイミングです。

この時点で自分の死んだ後のことを考えるのは、万が一のリスクに備えるためとはいえ、いまいちピンとこないかもしれません。

人生が続く限り、お金の出入りは常にあります。それを繰り返し、最終的に残ったお金が相続財産になるのです。

遺言書を書くときには、将来の相続発生時点だけに焦点を合わせず、

  • これからの人生をどのように生きたいか(ライフプラン)
  • それでも残った財産をどう受け継いで貰いたいのか(遺言書)

の2つを連続線上で捉えてみましょう。

MEMO

私は、相談者に会計の知識があれば、次のように説明することもあります。

1.まずは現時点での貸借対照表を作ってみる(Personal BS-beginning)
2.   次にこれからの人生のキャッシュフロー表を作ってみる(Personal CF)
3.   それらに基づき、相続発生時の貸借対照表を作ってみる(Personal BS-ending)
4.3の貸借対照表にある財産について、誰に受け渡したいか考える(遺言書

このように会計という視点から見ると、1から4は順につながっていることがわかります。

遺言書というのは、未来の出来事に関する現時点での意思決定です。その未来を現在との連続線上で捉えてみる。

遺言書のことだけ考えていてもなかなか進まない、というときは、この会計の視点がヒントになるかもしれませんね。

まとめ

遺言書を「書かされる」のではなく「自分で主体的に」書くつもりなら、気力・体力の充実しているうちに書き始めるのをおすすめします。

自分で主体的に書く遺言書の適齢期は、世間一般で考えられているよりもずっと若く、50~60代が目安といえます。

「ファースト遺言」はぜひこの年代で作っておきましょう。

後で見直しが必要になっても、書き直すはそれほど大変ではありません。

高齢になってからでも無理なくできるでしょう。

遺言書は人生で何度か作り直すつもりで。

遺言とライフプランをセットで作るのもおすすめです。

コメント

遺言書との関係におけるライフ・プランニングの役割というのは、これまであまり注目されてこなかった分野です。これからの時代、その重要性がますます高まるのではと考えています。

 
興味があれば、FPの知識がある行政書士や相続専門のファイナンシャル・プランナーに相談してみてください。
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