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【遺産すべてを母が相続 】スムーズな相続手続きのツボ
65歳男性からのご相談です。
父親の死後、家族で話し合い、子供3人は相続放棄し、遺産は全て母が相続することに決定。
相続財産は総額4,800万円で、自宅、銀行口座6個、生命保険1件から成る。
- 相続手続きをスムーズに進めるにはどうすればよいか
- 相続放棄はどのようにすればいいのだろう
- 相続税の申告についてもよく分からない
子供たちは一切の財産を相続しない。
このような遺産分割を希望するご家庭はめずらしくありません。
財産を相続しないことに子全員が快く同意してくれているなら、このような分け方もいいですね。
とはいえ、母親だけが相続するにせよ、相続手続きは複雑で手間がかかるもの。
手続きがスムーズに進めば、時間と労力を節約でき、相続人のみなさまの精神的な負担も軽減されますね。
相続税の申告は必要?
まずは相続税の申告から見ていきましょう。
本ケースでは、相続人が4名ですので、基礎控除額は5,400万円(3,000万円+600万×4)。遺産総額(4,800万円)は基礎控除額以下です。相続税申告は必要ありません。
後で新たな財産が発覚するようなことがなければ、相続税についてはこれ以上心配しないで大丈夫です。
相続放棄について誤解はない?
子どもたちは全員相続放棄することで決定済みとのことですよね。
相続放棄をして相続人でなくなる。その結果、財産を取得しないというわけです。
相続放棄の手続きは以下の手順で行われます。【相続放棄の流れ】
- 相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、相続放棄の申述書を管轄の家庭裁判所に提出する
- 家庭裁判所が、相続放棄を認めるかどうかを審理する。
- 家庭裁判所が、相続放棄を認める決定をした場合、相続放棄が確定する
【相続放棄の手続き書類】
- 相続放棄申述書
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 相続財産目録
3ヶ月以内という期限のうちに、戸籍謄本の収集を終わらせて、財産を調べ上げて財産目録を作成するのは大変で、相続人の精神的な負担もかなりのものとなります。それでも、亡くなった方が多額の借金を抱えていたり、相続財産よりも相続債務のほうが明らかに多かったりすると、相続放棄の手続きを行わざるを得ません。
ですが、今回のご相談のように、相続財産に借金が含まれないことがはっきりしているケースでは事情が違います。
この場合、わざわざ面倒な相続放棄の手続きをすることにメリットはありません。
相続放棄ではなく、遺産分割協議を行い、母が全財産を相続するとの内容で相続人全員が合意すれば、それで済むのです。
スムーズな相続手続きの流れ
- 戸籍謄本の収集
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 銀行口座の解約や不動産の名義変更
「全部母が相続」での遺産分割協議のツボ
分割協議書は、誤りや誤解の余地がないようにくれぐれも慎重に作成してください。
このとき、「子どもは財産を相続しない」と記載しなくても大丈夫だろうか、と疑問に思うかもしれませんね。
子供たちが財産を取得しない場合、遺産分割協議書において子供たちの取得分について特に記載しません。
分割協議書の本文に母親が全ての財産を相続する旨だけを明確に記載しましょう。
捺印には実印を使用し、各人の印鑑登録証明書も必要になります。
法定相続情報制度の利用もおすすめ
相続手続きを円滑に進めるには、必要な手続きを適切な順序で行うのが重要です。
「よく分らないまま手当たり次第に着手して、本来は必要のない相続放棄の手続きを進めてしまっていた…」なんてことになると、ただでさえヤヤコシイ相続手続きがさらにヤヤコシイことになり、相続人の精神的な負担も激増してしまいます。
相続手続きで不要な手続きを行ったり、二度手間になったりしないようするためには、やみくもに手続きを行うのは厳禁です。まずは必要な手続きを洗い出して、効率的な進め方を把握しましょう。
でも相続の知識が十分でないと、この時点でつまずいてしまい先に進めないことがあるかもしれません。
そんなときは相続の専門家に助言を求めてみましょう。相続の経験を積んで知識も豊富な専門家なら、解決に向けたヒントを教えてくれるはずです。
弊所でも相続手続きのご相談を承っております。
お客様の相続手続きをスムーズに進めるためのお手伝いをさせていただきます。相談のお申込みは申込みフォームかお電話でどうぞ。