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暦年贈与では何に注意したらいいの?

相続遺言相談室 on the web

相続対策に暦年贈与を考えています。
贈与税のかからない範囲で贈与したいのですが、後になって贈与が認められず税金がかかる場合があると聞きました。

そうならないためには何に注意したらいいですか?

相続では遺産争いや相続税に関するトラブルが起こりがちです。

相続が発生してからではできることは限られますので、トラブルを避けたいなら生前の対策が肝心です。

いろいろな対策がある中で、暦年贈与は最も基本的な対策です。

この記事では暦年贈与をするときに注意すべきポイントを説明します。

目次

暦年贈与

暦年贈与には毎年110万円の基礎控除枠があります。

1年間に受けた贈与の金額が110万円以下であれば、贈与税はかからず、贈与税の申告も必要ありません。

110万円というと大した金額ではないと感じるかもしれません。でも、複数の人に中長期的に暦年贈与を行うと、合計でかなりの金額を贈与できます。

暦年贈与を受ける人について特に制限はありません。配偶者や子だけでなく、子の配偶者や孫、お世話になっている知人など、誰に贈与してもOKです。

10人のお孫さんそれぞれに110万円を贈与すると、1年で1,100万円、5年で5,500万円の財産を非課税で移転できます。

早めに開始すればするほど、基礎控除額も増えるため、節税効果は高くなります。

ただし、暦年贈与をしすぎて、老後資金が足りなくなったり、贈与を受けた人が勤労意欲を失ってしまうことも。

過度の暦年贈与は禁物です。あくまでも余裕資金の範囲内で行いましょう。

MEMO

相続税法では、贈与した人が亡くなった日以前3年以内に贈与した財産は相続財産に足し戻して相続税の計算をします。そのため、亡くなる間際に暦年贈与しても節税効果がないことに注意しましょう。

暦年贈与で失敗しないためには

手軽にできて効果の高い暦年贈与ですが、失敗している人が意外に多いことも知っておいてください。

これは、暦年贈与をした方が亡くなり、相続税の申告で税務署の調査が入ったところ、暦年贈与が認められなかったという失敗です。

そうならないためには、贈与の成立を客観的に証明できるようにしておく必要があります。

「通帳に記帳してあるから大丈夫」とか「贈与税の申告をしたから税務署のお墨付きだ」と言って安心している人がいますが、それだけだと証拠不十分です。

贈与の事実を証拠に残すには、贈与契約書が必要です。

といっても難しく考える必要はありません。以下の点を記載した文書を作って、日付を入れ、贈与者と受贈者が署名捺印をすればOKです。

・いつ贈与するのか
・誰に贈与するのか
・何を贈与するのか
・いくら贈与するのか
・どのように贈与するのか

もちろん契約を締結するだけではダメで、契約書の通りに贈与を実行する必要があります。

贈与の実行でのポイントは、現金移動の証拠を残すようにすることです。

現金を手渡ししても証拠が残りません。贈与者の預金口座から受贈者名義の口座へ、通帳を使って振り込みで行ってください。

こうすると、通帳に振込先や金額が印字されるため、現金移動が実際にあったことの客観的な証拠となります。

振込先の口座は必ず、受贈者が日常的に使用している口座にしましょう。

贈与が成立するための要件の一つに、お金をもらったことを受贈者が知っていることがあります。

受贈者本人が日常的に使っている口座への振込であれば、入金があったことを受贈者が知らないはずありませんね。なので、その口座に振り込むことによって、受贈者が知っているという要件をクリアできます。

その際に、できれば、振り込んだ後、通帳の余白に「○○へ贈与」とメモ書きしておきます。

税務調査では筆跡まで調べられることがあります。贈与者本人の筆跡で贈与の意思を記したメモが通帳に残されていれば、贈与の事実を示す強力な証拠となります。

・贈与契約書
・通帳+メモ(振込先口座に注意)
以上のポイントに注意して、暦年贈与にトライしてみてくださいね。
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