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第2回:うちって国際相続に当てはまるの?チェックしてみたい

前回、国際相続は「海外に口座が1つあるだけ」でも当てはまる可能性があるとわかった。
では、自分の家はどうなのか? この回では、チェックリストで確認してみよう。
📌 この記事のポイント
チェックリストで1つでもYesがあれば、国際相続の可能性あり。
当てはまると「課税範囲」「申告の難度」「二重課税の調整」が変わります。
「人」と「財産」の両方をチェックする
「まゆさん、前回の話を聞いてから気になって。
うちの父、アメリカの口座のほかに、駐在中に入った保険もそのまま続けてるんですよ。あれも関係あるんですか?」
「関係あるわよ。海外の生命保険は、被相続人が保険料を負担していた場合、相続税の対象になることがある」
「口座だけじゃなくて保険も……。どこまで調べればいいんですか?」
「まずはチェックリストで確認してみましょう。
国際相続に当てはまるかどうかは、大きく分けて2つの方向から見るの。
1つは『人』——誰がどこに住んでいるか、国籍はどうか。もう1つは『財産』——海外にどんな資産があるか」
「人と財産。この2つですか」
「そう。片方だけでも当てはまれば国際相続の可能性があるし、両方当てはまるとさらに複雑になる。
まず全体を見渡してみましょう」
(配偶者・子など)
(使っていなくても)
(受給中でも、受給権だけでも)
「うち、『人』の方は全員日本に住んでるから関係ないかと思ってたんですけど……」
「お父さん、過去にアメリカに住んでいたでしょう。それにYesがつく。
しかも『財産』の方は口座、保険——少なくとも2つ。Yesが3つね」
華輪クンは腕を組んだ。
「……3つもあるのか」
「華輪クンの家庭は、相続人が全員日本に住んでいて、海外に財産がある。
実務ではよく見かけるパターンなのに、ネット上で調べてもピンとくる情報が意外と少ない」
「そうなんですか? でも日本の法律で相続するんだから、そんなに難しくないんじゃ……」
「日本側の手続きはそう見えるかもしれない。
でも海外にある財産を実際に動かそうとすると、その国のルールが出てくる。
口座一つ解約するにも、日本の書類だけでなく現地の手続きや追加書類を求められることがある。しかも、こういう手続きに慣れた専門家は限られているの」

ネットで調べても自分のケースが見つからない——それだけ情報が少ない領域ってこと。
だからこそ、このシリーズで一緒に整理していきましょう。
自分はどのパターン?——3つの類型で整理する
「当てはまるのはわかったけど、ケースによって全然違うんですよね?
うちみたいに全員日本にいるのと、兄弟が海外にいるのとでは話が違うんじゃないですか」
「いいところに気がついたわね。国際相続の当事者を大きく分けると、3つのパターンになる」
このシリーズでは、被相続人(亡くなった方)が日本人・日本在住であることを前提に、「相続人がどこに住んでいるか」と「財産がどこにあるか」の2軸で整理している。
「相続人の居住地」×「財産の所在地」の2軸で整理
自分のパターンに関係する部分を押さえればOK。全部読む必要はありません。
「うちはパターンAか。全員日本にいるけど、海外に財産がある」
「そう。このシリーズでは、後の回でもこのパターン分けを使って整理していくから、自分がどこに当てはまるか覚えておいてね。
全部の記事を読む必要はない——自分のパターンに関係する部分を押さえればいいから」



全部読まなくていいんですか? ちょっとホッとした。
当てはまったら、何が変わるのか
「で、当てはまったとして、具体的に何が変わるんですか?
普通の相続とどこが違ってくるのか知りたいんですけど」
「大きく3つ変わる。1つずつ整理するわね」
課税範囲が変わる
日本の相続税で、国内の財産だけが対象になるか、海外の財産まで対象になるかは、亡くなった方や相続人の住所・国籍の組み合わせで決まる。
亡くなった方が日本に住んでいた場合は、原則として世界中の財産が課税対象になる。
「じゃあうちは、父が日本に住んでるから全世界課税ってことですか」
「そう。お父さんが日本在住である以上、アメリカの口座も保険も、日本の相続税の対象になる。
ちなみに、亡くなった方が海外に住んでいた場合は、受け取る側の住所や国籍によっても課税範囲が変わってくる。
これはパターンB・Cの話だから、後の回で整理するわね」
申告の難度が上がる
海外に財産があると、国内相続にはない作業が加わる。
海外の金融機関から残高証明書を取り寄せる、外国語の書類を翻訳する、財産の評価方法を調べる
——しかも海外とのやり取りには時差や国際郵便の往復もある。書類を送って返事を待つだけで1ヶ月かかることも珍しくない。
こうした積み重ねが、相続税の申告期限(10ヶ月)を圧迫する。
二重課税の調整が必要になることがある
海外でも相続税や遺産税が課される場合、日本の相続税から一定額を差し引く「外国税額控除」という手続きが必要になることがある。
制度自体は後の回で詳しく取り上げるが、まず「日本と海外の両方に税金がかかることがある」ということを知っておいてほしい。
「3つも変わるんですか……。うちは全員日本にいるから簡単だと思ってたのに」
「全員日本にいても、海外に財産があれば手続きは複雑になる。
逆に言えば、チェックリストで気づいたこと自体が第一歩。
知らないまま普通の相続と同じように進めてしまうのが一番リスクが高いから」
国際相続に当てはまるかどうかは、「人」と「財産」の両方から確認します。
過去の海外赴任で口座や保険が残っている、
家族が海外に住んでいる、
外国籍の家族がいる
——1つでも当てはまれば、課税範囲や必要書類の集め方が変わってきます。
まずはチェックリストで確認して、ご自身のケースを把握するところから始めてみてください。
次回は、国際相続になった場合に「誰に相談すればいいのか」を整理します。
→第3回:国際相続って、誰に相談すればいいの?税理士だけでいいの?
免責事項
このシリーズは、国際相続が関係するかもしれない方が、ご自身のケースで何が問題になりうるかを知り、専門家に相談する準備ができるようになることを目的としています。わかりやすさを優先しているため、法令の厳密な表現とは異なる場合があります。記事の内容は一般的な説明であり、個別の税務アドバイスではありません。具体的なご判断は、国際相続に詳しい税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
※海外の生命保険・年金・退職関連資産については、どの税目(相続税・所得税など)でどのように課税されるかが制度や契約内容によって異なります。個別の判断は専門家にご相談ください。
