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51%の人が遺言の相談先に困っている

目次

遺言についてのアンケート

遺言の日に関連して葬儀のポータルサイトを運営する会社が実施した遺言に関するアンケートを紹介した記事がありました。

なかなか興味深い内容でしたので一部をご紹介します。

遺言書に関して40歳代以上の男女144名を対象に行ったインターネット調査

アンケート結果のまとめ

  • 「遺言書を残したい相手はいる」と答えた人は64%
  • 「遺言書を残すことを考えたことがない」と答えた人は約半数
  • 約4割の人が「遺言書の相談できる人」がいないと答えた

遺言の作り方を相談できる人はいますか?

  • 「相談相手がいる」と答えた人は11%
  • 「相談相手がいない」と答えた人は42%
  • 「ネット検索すればよい」 と答えた人は47%

記事では、「遺言書を残したい相手がいるのに遺言書を残すことを具体的に考えてはいないという矛盾」があるとした上で、

誰に相談してよいかわからず不安に思っているため、実際に遺言書作成まで至っていないのかもしれない

と考察しています。

遺言書の相談先に悩んでいる人が多いということは私も感じていましたが、あくまでも相続の専門家としての肌感覚でした。

それがこのアンケートで数字で裏付けられたかっこうです。

「相談相手がいない」と感じている人が4割強もいる

さらに半数近く人が「ネット検索すればよい」と答えたのも注目に値します。

実はネット検索だけでは残念な遺言書になってしまうリスクが高いのですが、今回のアンケートは40代以上を対象にしたインターネット調査です。

その性質上、回答者の年齢層は比較的若かったと推測されます。

40代ですと遺言書の作成にまだ現実感のない人が多そうです。

そのため、遺言書を自分だけで書くことのリスクを意識しておらず、適当な相談相手も当然思い浮かばないので、「ネット検索すればいい」と回答したとも考えられます。

とすれば、「ネット検索すればいい」と回答した人の中には、遺言の作成が現実味を帯びるにしたがって「相談相手がいない」に転じる人、つまり「相談相手がいない」の予備軍が含まれているのではないか。

その割合を47%の2割と控えめに見積もって加算すると、

約半分(51.4%)の人が遺言の相談相手に困っているか、将来、困ることになる
といえそうです。

遺言の相談先

今後、大きな社会問題になりそうな「遺言の相談先」。

誰に相談するのがいいのでしょうか。

家族への相談

信頼できる特定の家族に相談するという人は多いです。

家族への相談自体が悪いというわけではありませんが、この場合、細心の注意が必要です。

家族の中の特定の誰かだけに相談して遺言書を作るのは非常に危険なので、控えたほうがいい。

相談されていない他の家族と相続発生後に揉める原因になります。

特定の家族だけに相談するとしても、遺言書の作成後にその内容について、相続権のある家族全員に説明し納得してもらうようにしてください。

遺言の内容を家族全員に知られるのはちょっと…と思うなら、特定の家族だけに相談するよりも第三者に相談するほうが安全です。

相談窓口への相談

遺言の相談窓口への相談という手もあります。

自治体や弁護士会、行政書士会の相談会もありますし、保険会社や不動産業者がセミナー後などに相談の機会を設けている場合もあります。

チラシやのぼりでの広告も盛んなので、皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれません。

その多くが無料です。

ここでも、利用自体は構わないにせよ、気を付けるべき点があります。

公的機関の相談窓口の場合、担当者を選べないことがほとんどです。

当番の担当者が遺言に詳しいとは限りません。

時間も30分程度に限定されています。じっくり話を聞いてもらうには到底足りません。

また相談に対する回答も一般論に終始しがちで、具体的な踏み込んだアドバイスまでは期待薄です。

民間事業者が運営する相談窓口であれば、他の商品を売り込むためのきっかけ作りに無料の遺言相談が使われているケースが大半と考えていい。そうでないと商売が成り立ちませんからね。

例を挙げると

  • 信託銀行や士業事務所は遺言執行や相続手続を売り込みたい
  • 保険会社やFPは保険商品を売り込みたい
  • 不動産業者は不動産を売り込みたい

これらは高額商品なので、いきなり買ってもらうことは難しい。

そこで見込み客にアプローチするためのフロントエンド商品と呼ばれる無料(又はきわめて低額)の商品を用意するのですが、幸か不幸か、遺言相談はフロントエンド商品に選ばれやすいのです。

だから、遺言の相談窓口では、入口は無料でも最後まで無料とは限らない。

売り込まれて高額商品を買うはめになる危険があります。

それを承知の上で相談するなら問題ありませんし、売り込まれる高額商品が相談者にとって本当に必要な商品であれば良いのです。

ですが、断りづらいことは確かなので、気の弱い人は利用は避けたほうがいいかもしれません。

専門家への相談

遺言書というのは法律文書の一種です。イメージとしては契約書に近い。

大事な契約書を法律に明るくない人が自分だけで書こうとは思わないですよね?遺言書も同じです。

遺言書と混同されがちなエンディングノートなら自分だけで書いてもOKですが、遺言書を、十分な法律の知識のない人が自分だけで書くのは非常な危険が伴います。

ぜひ一度は専門家に相談してください。

家族や遺言の相談窓口に相談する場合も同様です。相談相手が遺言関連の法律に詳しいとは限りません。

遺言の失敗は取り返しがつきません。多少お金がかかっても専門家への相談を加えると安心です。

 
自分が話しやすい人で、争族対策、節税対策など自分が最も必要とする分野の知識をしっかり持っている専門家に相談するのがいいですね。
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