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相続税が心配なら試してみたい3つのステップ

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突然の相続発生。
もしかしてうちも相続税かかるの?
どうやって調べればいいですか?

税法改正以降、相続税の対象者となる人が増えたため、相続税が話題になる機会が多くなりました。

「うちも相続税がかかるの?」と心配になったら、まず何をすればいいか。

この記事ではおすすめのステップをご紹介します。

  1.   資料を用意
  2.   国税庁のサイトから検討表をダウンロードして書き込む
  3.   最寄りの税務署か税理士に相談する

意外かもしれませんが、相続税がかかるかどうかはそれほど簡単には判定できません。色々調べてみてようやく分かるのが普通です。

この調査には多少難しい部分があり、途中で分からなくなって挫折する人もいます。

そこで、相続税に詳しくない方でも着実に進められるステップを考えてみました。

以下では相続がすでに発生したケースを想定していますが、相続発生前の対策でも同じステップが使えます。「今、相続が発生した」と仮定して読み替えてください。
目次

まず、相続税の申告の要否を検討する

相続税の心配というと、真っ先に心配するのは、相続税はかかるのか、かかるなら税額はどれくらいかという問題でしょう。

でも、実のところ、その前に相続税の申告が必要かどうかを考える必要があります

相続税法の規定の中には相続税申告書の中で「この規則を適用します」と宣言してはじめて使用できるものがあります。

たとえば、配偶者の税額軽減。配偶者なら1億6千万円までは相続税がかからないというのは有名です。
これは正確には、相続税の申告をすれば相続税はゼロ、という意味なのです。何もせず放っておくと課税される危険があります。

相続税が心配なら試してみたい3つのステップ

というわけで、相続税が心配なら、まずは相続税の申告が必要かどうかをはっきりさせる必要があります。それがステップ1と2です。

ステップ1 資料を用意する

まず必要な資料を用意します。算定の基礎となるデータが欠けていたり不適切だったりすると、正確な判定はできません。

私が相続のご相談を受けるときも、具体的な資料がないとあいまいなアドバイスしかできず、残念に思うことがあります。

必要な資料は相続財産によって色々です。全部そろえるのは大変なので、最低限用意してほしい資料を以下にまとめました。

不動産 固定資産税納税通知書(亡くなった年度のもの)

※役所から年1回送付される書類。複数枚のつづりになっているときは全頁。

見当たらない場合、ちょっと面倒ですが、代わりとなる固定資産評価証明書を役所で発行してもらいます。

株式・投資信託・債券 取引残高報告書(亡くなった日が含まれる期間のもの)

※証券会社から定期的に送付される書類で、銘柄や数量、評価額が記載されているもの。ネット証券の場合はオンラインで閲覧・印刷できます。

預貯金 預貯金通帳(亡くなった日の残高が印字されているもの)

※長期間記帳していない通帳は、記帳をすませておいてください。

生命保険金 支払保険料計算書

※保険金をまだ受け取っていない場合は、保険証書でもよいです。

その他 上記以外の財産で、金額の大きいものがあれば、その資料。

相続財産によってはこれだけでは正確な判定ができません。国税庁のHPにもう少し詳しいリストがありますので、クリックして確認してください。

ステップ2 国税庁のサイトから検討表をダウンロードして書き込む

資料がそろったら、いよいよ、相続税の申告要否の検討に入ります。

ここでは、国税庁の「相続税の要否検討表」というシートを使って検討します。ここにアクセスして、PDFをダウンロードし、印刷しましょう。

国税庁のサイトには、「相続税の申告要否の簡易判定シート」と「相続税の申告要否判定コーナー」という別のツールも用意されています。ご興味があれば、試してみてください。
相続税の申告要否判定コーナーは、申告要否の判定機能だけでなく相続税額の計算機能までありますので、税額を計算したいときに便利です。ただ、使い方にくせがあり、最後の税額計算まで正確にできる一般の方は少ない印象です。

それでは、検討表に順次書き込んでいきましょう。途中で簡単な計算がありますので、電卓も用意します。

1 住所・氏名・生年月日・亡くなられた日

面倒なら空欄で構いません。

2 職業・勤務先

面倒なら空欄で構いません。

3 相続人

面倒なら空欄で構いません。相続人の数(A)だけは書いておきます。

4 不動産

固定資産税納税通知書(または固定資産評価証明書)を見ながら書き込みます。

所在地は空欄で構いません。

ロ 路線価とハ 倍率は、検討表の(注)を読んで調べます。分からなければ空欄で構いません。

二 評価額の概算は、検討表の(注)のとおりに計算し書き込みます。ロとハが空欄だと計算できないので、ここも空欄にします。資料から固定資産評価額が分かれば記載し、ヨコに固と書いておきましょう。

用意した資料から固定資産評価額を拾うのは、記載様式や所有状況によって難しい場合があります。分からなければ無理に記入する必要はありません。

5 株式・公社債・投資信託

取引残高報告書を見ながら書き込みます。個別に書き込みますが、面倒なら合計額だけ書いてもOKです。

6 預貯金・現金

通帳を見ながら書き込みます。個別に書き込みますが、面倒なら合計額だけ書いてもOKです。

預金から引き出したりして、亡くなった日当日に手元に現金があれば、それも書きます。

7 生命保険金等

支払保険料計算書(または保険証書)を見ながら書き込みます。(注)で非課税額を計算し、それを除いた金額をEに書きます。

8 その他

上記以外に金額の大きなものがあれば書き込みます。金額は正確な数字でなくてもOKです。

9~10

贈与についてです。思い当たる場合は書き込みます。

11 借入金・葬式費用等

金額の大きなものがあれば書き込みます。金額は正確な数字でなくてもOKです。

申告の要否判定

ここまでできたら、申告の要否を検討できます。12の記載に従って、Nまで一気に書き進めましょう。

Nの金額
《黒字である場合》 相続税の申告が必要です
《赤字である場合》 相続税の申告は不要です

判定結果はどちらになりましたか。

「相続税の申告は不要です」の判定が出たら、ひとまず安心です。相続税はかかりません。申告書の提出も必要ありません。それでも税務署から連絡が来ることはあります。そのときこの検討表が役立つので、捨てずに取っておいてください。

ただし、この判定は絶対ではありません。基礎となる情報が不十分だったり不正確だったりすると適切に判定できず、本当は申告が必要なのに申告不要と判定されてしまうことも。
心配な人はたとえ「相続税の申告は不要です」の判定であっても、ステップ3に進むことをおすすめします。

「相続税の申告が必要です」の判定が出たら、カレンダーを意識しましょう。相続税の申告期限は亡くなった日から10か月以内です。資料収集や遺産分割協議であっという間に時間は過ぎます。遅れないよう、早めに動くのが得策です。そのための3つ目のステップを次に紹介します。

ステップ3 最寄りの税務署か税理士に相談する

次のステップは専門家への相談です。ステップ1の資料とステップ2の検討表を持って、最寄りの税務署か税理士に相談しましょう。

ステップ2で「相続税の申告が必要です」の判定だった場合、以下の3つが考えられます。

  • 相続税申告が必要で、税額もあり
  • 相続税申告が必要だが、税額はなし
  • 相続税申告は必要ない

課税額があるかないかは「相続財産をどのように分けるか」によっても違ってきます。とりあえずの案でいいので、相談へ行く前に分割案を決めておいてください

遺言書があれば原則的にそれに従います。

ステップ3の相談か終わると、相続税に関して自分は何をすればいいか、おおよその見通しが立つはずです。

ここまで分かれば、

  • 相続税のこと、これ以上心配するのはやめよう
  • 相続税申告書を作成してくれる税理士をネットで探そう
  • 納税資金に困らないように株式を売って現金化しておこう

といった次の具体的なアクションに移ることができます。

とかく相続は断片的な情報に振り回されて不安になりがちですが、しっかりした見通しがあれば安心ですね。

まとめ

この記事では、相続税が心配なときにぜひ試してほしいステップをご紹介しました。

断片的なアドバイスや周囲の人の言うことを鵜吞みにして相続税がかからないと思い込んでいる人がたくさんいます。
ですが、相続税の申告が必要かどうか、相続税がかかるかどうかは、故人の相続財産や遺産分割案によって異なりますので
本来は客観的な資料に基づき慎重に判定する必要があるのです。

そこで役立つのがこの3つのステップ。

  1.   資料を用意
  2.   国税庁のサイトから検討表をダウンロードして書き込む
  3.   最寄りの税務署か税理士に相談する

 

この3つのステップを実行していただくと、相続税の心配を減らせますよ。
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