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「つい、うっかり」ではすまされない!相続税申告をミスったときの罰則とは?
相続遺言相談室 on the web
初めてのことだし、間違いがあっても仕方が無いよね…
というのも、これまで税金の申告や税務署に関わりが薄かった人たちも関係することがあるんですね。
初めての相続税申告。「よく知らないし、間違っても仕方が無いじゃない」と思っている人がいるかもしれません。
でも、「知らなかった」「うっかりしていた」からといって、税務署が大目に見てくれるということはなく、所定のペナルティが科されます。
本来は払う必要のなかった税金を払うはめになってしまいます。
今回の記事では、そんな事態にならないための事前の知識として、
- 相続税の申告が必要なのに、うっかり期限内に申告しなかった
- 相続税の申告はしたものの、うっかり申告漏れがあった
- 相続税の納付をうっかり忘れていた、若しくはうっかり納付が遅くなった
といったうっかりミスを取り上げ、相続税のペナルティについて解説しました。
「つい、うっかり」でペナルティを科される恐れがあるのは、「うちは相続税の申告なんて必要ない」、「相続税の申告なんて簡単だ」と思い込んでいる人です。もし少しでも心当たりがあれば、ぜひお読みください!
相続税の申告で本来すべきことは?
最初におさらいしてです。
相続税の申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内
相続人はこの期限内に、
- 相続税の申告が必要かどうか確認し、
- 申告が必要なら、申告財産がすべて記載され、かつ適切に計算された申告書を提出し、
- 納税を済ませる
必要があります。
これらをしっかりやれたなら、何ら問題ありません。罰則とは無関係。
けれども実際には、
① 相続税の申告が必要かどうかの確認
からして、きちんとできていないことがあります。
申告要否の判定は、相続財産をある程度調べてからでないと分かりません。なのに、それを適当にしたまま放置したり、他人の話を鵜吞みにしたりして、申告不要と思い込んでいる人、結構多いです。
申告義務があるのに申告していない状態を無申告といいます。
② 申告財産がすべて記載され、かつ適切に計算された申告書の提出
相続税の申告財産というのは思いのほか難しく、意外な財産が申告対象だったりします。
よく調べないで申告書を作ると、申告財産に漏れがあるのに気づかないことがあるかもしれません。
また手書きで申告書を作成する場合にありがちなのですが、相続税の計算過程は複雑なので、税額の計算を間違ってしまうこともあります。
その結果、期限内に申告したのはいいものの、本来の税額よりも少なく申告してしまう。これを過少申告といいます。
③ 申告期限までに納税を済ませる
相続税の納付期限は申告期限と同じ、相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内です。
申告書の作成と提出でいっぱいいっぱいになってしまい、納税をすっかり忘れていた!という人はけっこういるものです。
これだと、本来期限までに納める税金を延滞している状態になってしまう。
また、申告自体をうっかり忘れていた場合も、当然ながら、本来期限までに納める税金を延滞している状態となります。
相続税申告のうっかりミスに科されるペナルティ
相続税のうっかりミスに科されるペナルティは、本来払うべき税金に附帯して(付き備わって)科される附帯税となります。附帯税はその理由ごとに種類があり、税率も異なります。
- 無申告のペナルティ → 無申告加算税
- 過少申告のペナルティ → 過少申告加算税
- 延滞のペナルティ → 延滞税
無申告加算税
無申告加算税の税率は5~20%です。けっこう幅がありますが、大筋として、
無申告が判明した後、どのタイミングで申告書を提出したか
で税率が変わると押さえておけば十分でしょう。
税務調査が入ると連絡を受けるまでに申告したなら5%ですみますが、調査が入ってから、調査で間違いが指摘されてから、とタイミングが遅くなるにつれ、税率が上がります。
相続税申告が必要なのに10か月の期限をうっかり過ぎてしまったら、なるべく早く申告することで無申告加算税を最小限に押さえることができます。
申告すべき相続税額 | 申告期限の翌日から税務調査の連絡を受けるまで | 税務調査の連絡を受けて以降、税務調査で間違いを指摘されるまで | 税務調査で間違いを指摘されて以降 |
50万円以下の部分 | 5% | 10% | 15% |
50万円超の部分 | 5% | 15% | 20% |
過少申告加算税
過少申告加算税は、
の場合に、差額に対して科されます。
過少申告加算税の税率は0~15%。こちらも、正しい申告書を提出したタイミングによって税率が異なります。ただし、税務署から連絡がある前に自分で気づいて修正申告すれば過少申告加算税は課されません。
申告すべき財産の計上漏れや計算間違いによる過少申告に気づいたら、なるべく早く、できれば税務調査の連絡が来るまでに自主的に申告することで、過少申告加算税を最小限に押さえることができます。
過小となっていた相続税額 | 申告期限の翌日から税務調査の連絡を受けるまで | 税務調査の連絡を受けて以降、税務調査で間違いを指摘されるまで | 税務調査で間違いを指摘されて以降 |
50万円以下の部分 | 対象外 | 5% | 10% |
50万円超の部分 | 対象外 | 10% | 15% |
延滞税
延滞税は、納付期限の翌日から税金を納める日までの日数で計算します。
期間によって税率は変わり、平成30年から令和2年までの期間は
- 納期限から2か月以内は延滞税の税率は年利2.6%
- 納期限から2か月経過すると延滞税の税率は年利8.9%
となっています。
《参考》
[blogcard url=https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm]
申告はしたが納税は忘れていた、とか申告自体を忘れていた、というときは、なるべく早めに対応することで延滞税を最小限に抑えることができます。特に納期限後2か月を境に税率が跳ね上がるので、たとえ納税でミスっても2ヶ月以内に納税したいものですね。
消費者金融もびっくりの高利率
うっかりして相続税申告をミスったときに課せられるペナルティ
- 無申告のペナルティ → 無申告加算税(5~20%)
- 過少申告のペナルティ → 過少申告加算税 (5~15%)
- 延滞のペナルティ → 延滞税 (2.6~8.9%)
普通預金の利率が年0.001%程度に過ぎないことを考えると、驚きの高利率ですね。
しかも実際にはこれらの附帯税が組み合わせて課されることになります。
- 無申告加算税(5~20%)+延滞税(2.6~8.9%)
- 過少申告加算税(5~15%)+延滞税(2.6~8.9%)
高利貸なみの利率とよく言われますが、むしろ高利貸しも真っ青の利率と言うべきでしょう。
金融機関 | 金利 |
---|---|
A社 | 3.0%~18.0% |
B社 | 4.5%~17.8% |
C社 | 3.0%~18.0% |
…というわけで、相続税申告に不慣れな一般の方が「つい、うっかり」ミスったとしても、そのペナルティはかなり厳しいものとなっていることを理解していただけたでしょうか。
相続税申告を甘くみるのは危険です。
ちなみに、ここで取り上げた「うっかり」でなく
わざと申告しなかった
わざと過少申告した
というケースでは、最大40%の重加算税が課されます。
本当は「うっかり」だったとしても税務署から「わざと」だと疑われることもあります。そうなると疑惑を晴らすのに大変です。
相続税申告ではうっかりミスすらしないよう、念には念を入れて対処するのが得策といえるでしょう。