1月1日に亡くなるということ

以前、1月1日に亡くなった方の相続税申告を、お手伝いさせていただいたことがあります。

相続の仕事をしていると、亡くなった方がその年に払うはずだった税金も確認します。

そのとき、不思議なことがありました。

住民税は、かかりませんでした。

でも、固定資産税はかかりました。

どちらも地方税です。

しかも、どちらも1月1日が基準になる税金です。

同じ人が、同じ1月1日に亡くなった。

なのに、片方はかからず、片方はかかる。

なんでだろう。

調べてみると、二つの税金では扱いが少し違います。

住民税では、1月1日が「賦課期日」とされています。

そして税務上の取扱いでは、納税義務があるかどうかは「同日の現況」で判断するとされています。

実際、1月1日に亡くなった人には、その年度の住民税はかかりません。

1月2日に亡くなった人には、かかります。

一日違うだけです。

固定資産税も、賦課期日は1月1日です。

二つの扱いを、時間の線に置き換えてみます。

あくまで、私が制度を理解するためのイメージです。

1月1日を、一本の線にします。

左端が、1月1日の始点。

右端が、1月1日の終点です。

その方は、1月1日の始点を、生きたまま越えました。

でも、その日の途中で亡くなりました。

終点までは越えませんでした。

固定資産税では、この始点の手前が重要です。

法律には、土地や建物の登記上の所有者が「賦課期日前に死亡しているとき」は、1月1日にその資産を現に所有している人を納税義務者とする、と書かれています。

12月31日に亡くなっていれば、始点を越える前に亡くなっている。

でも、1月1日に亡くなったその方は、始点を生きたまま越えています。

だから、「賦課期日前に死亡していた人」ではありません。

その年の固定資産税はかかります。

ところが、住民税では扱いが違います。

1月1日の始点を生きたまま越えただけでは、その年度の住民税はかかりません。

その日の途中で亡くなれば、1月1日死亡として課税されない。

時間の線に置き換えてみると、住民税では、始点を越えたことよりも、その一日の終点までたどり着かなかったことが効いているような形になります。

1月1日に亡くなった、あの方。

住民税では、その年にはいない人でした。

固定資産税では、その年の納税義務を負う人でした。

同じ人の、同じ一日です。

目次