相続の浮き輪①|相続が始まったら、まず何を見ればいい?

🛟 この記事の浮き輪

相続が始まったとき、最初からすべてを理解しようとしなくて大丈夫です。
まず見るのは、人・財産・期限の3つです。
そのうえで、遺言書があるかどうかも早めに確認します。


まずはこれだけ

相続というと、相続税、遺産分割、名義変更、戸籍、銀行手続き、不動産評価……と、たくさんの言葉が一気に出てきます。

大切な人を亡くした直後に、こうした言葉を次々に目にすると、何から手をつければよいのかわからなくなるのは自然なことです。

でも、最初に見ることは、意外とシンプルです。

まずは、次の3つを確認します。


  • 誰が相続人になるのか。
  • 財産
    どんな財産や債務があるのか。
  • 期限
    いつまでに何をしなければならないのか。

そのうえで、遺言書があるかどうかも早めに確認します。

相続では、いきなり税金や手続きだけを見ると、判断を間違えやすくなります。

誰が相続人になるのかがわからなければ、誰と話し合うべきかが決まりません。
どんな財産や債務があるのかがわからなければ、相続税申告が必要かどうか、相続税がかかるかどうかも見えてきません。
期限を知らなければ、相続放棄や相続税申告の判断が遅れてしまうことがあります。

だから最初は、人・財産・期限を分けて確認することが大切です。

期限のある手続きもあります。

相続放棄には、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月」という期限があります。
相続税申告には、原則として「亡くなったことを知った日の翌日から10か月」という期限があります。

期限がある手続きは、あとで慌てないように、早めに全体を見ておくことが大切です。

特例や節税の話も大切です。
でも、最初に見るべきなのは、まずこの土台です。

人・財産・期限。
そして、遺言書。

ここから、相続の現在地を少しずつ確認していきましょう。


ざっくり言うと

相続は、突然、制度の海に放り出されるようなものです。

目の前には、聞き慣れない言葉の波が次々にやってきます。

「相続税の申告は必要なのか」
「相続税はかかるのか」
「誰が何をもらうのか」
「実家の名義はどう変えるのか」
「申告期限に間に合うのか」

その海で、いきなり全部を理解しようとしなくて大丈夫です。

まず必要なのは、相続の全体像をざっくりつかむことです。

このシリーズでは、相続の細かい例外を最初からすべて説明するのではなく、まず大きな形をつかむための「浮き輪」をお渡ししていきます。

難しい相続を、雑にではなく、ざっくり。

これが、この連載の考え方です。


よくある勘違い

よくあるのは、最初に「相続税がかかるかどうか」だけを気にしてしまうことです。

もちろん、相続税は大切です。
申告が必要かどうか、納税資金をどうするかは、早めに確認したほうがよいことです。

ただ、相続税だけを見ていると、その前提になる部分を見落とすことがあります。

たとえば、誰が相続人なのか。
遺言書はあるのか。
預貯金や不動産のほかに、借入金や未払いの費用はないか。
生前に大きな贈与を受けた人はいないか。
遺産分割をどう進めるのか。
いつまでに判断しなければならないことがあるのか。

相続税は、相続という海の中にある大きな波の一つです。
でも、海全体ではありません。

相続税を確認するためにも、まずはその前提になる人・財産・期限を見ていく必要があります。


もう少し正確にいうと

相続では、まず相続人を確認し、財産と債務を把握し、遺言書の有無や必要な手続きの期限を整理していきます。

財産については、いきなり評価額を計算しようとするより、まずは「棚卸し」をするように、思い当たるものを並べていきます。

このとき大切なのは、最初から完璧な金額を出そうとしないことです。

まずは、預貯金、不動産、株式、生命保険、借入金、未払いの医療費や税金など、「何がありそうか」を広く拾います。

一方で、名義が違う預金、生前贈与、亡くなる直前のお金の動き、不動産の正確な評価などは、あとから確認が必要になることもあります。

最初の棚卸しでは、正確な評価額よりも、見落としそうな荷物がないかを確認することが大切です。

相続税のことも大切ですが、申告が必要かどうか、実際に税金がかかるかどうかは、財産や相続人の輪郭が見えてから確認していきます。

相続税には基礎控除額という目安がありますが、ここではまだ細かい計算に入らなくて大丈夫です。

まずは、誰が相続人になりそうか。
どんな財産や債務がありそうか。
いつまでに判断しなければならないことがあるか。
遺言書はあるか。

この順番で、相続の現在地を見ていきましょう。


今日できる小さな一歩

まずは、手元にある情報を紙に書き出してみましょう。


  • 相続人になりそうな人
  • 財産
    預貯金・不動産・保険・借入金など、思い当たるもの
  • 期限
    相続放棄や相続税申告など、気になる期限
  • 遺言書
    ありそうか、保管場所に心当たりがあるか

正確でなくてもかまいません。
最初は、思い当たるものを並べるだけで十分です。

紙に書き出すと、頭の中で一度に押し寄せていたものが、少しずつ分かれて見えてきます。

迷ったら、ここに戻る

相続が始まったとき、最初からすべてを理解しようとしなくて大丈夫です。

まず見るのは、人・財産・期限
そのうえで、遺言書があるかどうかも確認します。

紙に書き出してみると、何がわかっていて、何がまだわからないのかが少し見えてきます。

もし途中で、
「これは自分たちだけで判断してよいのかな」
「期限に間に合うのかな」
「相続税がかかるのか、やはり不安だな」

そう感じたときは、専門家と一緒に現在地を確認するタイミングかもしれません。

相談することは、すべてを任せることとは限りません。
いまの状況を整理し、次に何を確認すればよいかを一緒に見るためのものでもあります。

このシリーズは、相続をひとりで泳ぎ切るためのものではありません。
まず一呼吸ついて、いま自分がどこにいるのかを知るための浮き輪です。

迷ったら、まずは人・財産・期限・遺言書に戻ってください。
そこから、相続の現在地を少しずつ整理していきましょう。

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