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第6回:国際相続の期限、10ヶ月だけ気にしていれば大丈夫?


まゆさん、国際相続の手続きって、普通の相続と同じスケジュールで大丈夫なんですか?10ヶ月あれば足りますよね?



相続税の申告期限が10ヶ月なのは、普通の相続と同じよ。
でも国際相続だと、10ヶ月より前に来る期限もあるの。



10ヶ月より前?



準確定申告の期限は4ヶ月後。これ自体は普通の相続でも同じなんだけど、国際相続だとこの4ヶ月の間に思わぬ大きな納税が発生することがあるのよ。
あと、米国に資産がある場合は、米国側の申告期限が日本より先に来ることもある。
しかも海外の手続きには時間がかかるから、普通の相続より早く動き始める必要があるの。
国際相続のスケジュール
税務申告に関わる主な期限
開始
⏱ すぐに着手すべきこと
海外の金融機関への問い合わせ
プロベートが必要かどうかの確認
残高証明書の請求、サイン証明の取得準備
準確定申告の期限
被相続人に所得があった場合、相続人が代わりに申告・納税
※ 国外転出時課税の対象になる場合は、納税または納税猶予の届出もこの期限
米国遺産税の申告期限
米国に一定額以上の資産がある場合
※ 延長申請(+6ヶ月)可。すべての方に該当するわけではありません
日本の相続税の申告・納税期限
国際相続でも期限は普通の相続と同じ
10ヶ月より前に来る期限がある
国際相続でも、日本の相続税の申告期限は普通の相続と同じ10ヶ月です。
でも、10ヶ月だけ意識していればいいわけではありません。
まず、準確定申告の期限は相続開始から4ヶ月以内です。
被相続人に確定申告が必要な所得があった場合、相続人が代わりに申告を行います。
すべての相続で必要になるわけではありませんが、国際相続では海外の利息収入や年金収入があるケースがあり、該当することがあります。
この期限自体は普通の相続でも同じです。
ただし国際相続では、この4ヶ月が特別な重みを持つことがあります。
被相続人が1億円以上の有価証券等を保有している場合、「国外転出時課税」(出国税とも呼ばれます)という制度の対象になることがあります。
簡単に言うと、有価証券の含み益に対して所得税がかかる制度です。 とくに相続人の中に海外に住んでいる方がいると、この課税が準確定申告の中で発生するため、4ヶ月以内に申告と納税が必要になります。
納税猶予を受ける届出もこの4ヶ月以内。知らないまま期限を過ぎると、届出の機会を失ってしまいます。
国外転出時課税の詳しい仕組みは、後の回で解説します。
また、米国に資産がある場合は、米国側にも申告期限があります。
米国遺産税の申告期限は死亡から9ヶ月で、日本の相続税(10ヶ月)より先に来ます。
相続人が米国居住者(U.S. person)の場合にも、別途報告義務があります。
海外の手続きには「待ち時間」がある
これらの期限に間に合わせるためには、税務申告の準備に必要な手続きを早い段階から動かす必要があります。
海外の金融機関に残高証明書を請求するだけでも、時差や言語の壁、本人確認の手続きがあり、数週間から数ヶ月かかることがあります。
海外在住の相続人がサイン証明を取得するには、在外公館に出向く必要があります。
プロベート(米国等の裁判所を通じた相続手続き)が必要な場合は、数ヶ月から1年以上かかることもあります。
これらは日本側からコントロールできません。
だからこそ、「まず国内を片付けてから海外を」ではなく、国内の準備と海外の手続きを並行して進めることが大切です。
とくに時間がかかるもの——海外の金融機関への問い合わせや、プロベートが必要かどうかの確認——は、相続が始まったらできるだけ早く着手してください。
全体像を把握して、早めに専門家に相談する
国際相続では、「いつまでに何を動かす必要があるか」を早い段階で把握することが結果を左右します。
準確定申告が必要かどうか。
国外転出時課税に該当しないか。
米国への申告・報告義務はあるか。
海外にどんな財産があるか。
これらを早い段階で確認するためにも、国際相続に対応できる専門家に早めに相談することが大切です。
ここまでの6回で、国際相続の基本的な考え方と、専門家・手続き・スケジュールの全体像を整理しました。
次回からは、具体的な法律と税務の論点に入っていきます。
相続税の申告期限10ヶ月は、普通の相続と同じです。
でも国際相続では、それより前に来る期限があります。 とくに準確定申告の4ヶ月。国外転出時課税に該当する場合もこの期限です。 ここを意識しないまま過ぎてしまうケースが、一番怖いです。
海外の手続きには時間がかかります。 早い段階から並行して動かすことが、この期限を乗り切る鍵です。
ここまでの6回で入門編は終わりです。 次回からは、どの国の法律が使われるのかという論点から、具体的に見ていきましょう。
