遺言書の必要性チェックリスト

あなたに遺言書は必要?
以下のリストをチェックしましょう。
当てはまるものがあれば、リストの下にある解説をお読みください。「遺言書がないと困ったことになる」と思ったあなたは遺言書が必要です。

 子どもがいない夫婦

 再婚して前婚の子がいる人

 お嫁さん(お婿さん)に財産を分けてあげたい人

 孫に財産を分けてあげたい人

 知人や友人、お世話になった人に財産を分けてあげたい人

 寄付をしたい人

 籍を入れていない夫婦

 独身の人・身寄りのない人

 ペットの世話が心配な人

 趣味のコレクションや骨董品がある人 

 相続人に知的障害・精神障害を持つ人がいる

 相続人に認知症の人がいる

 相続人に音信不通の人がいる

 相続人に未成年者がいる

 シングルマザー・シングルファザー

 相続人に海外に住んでいる人がいる

 自分や他の相続人との関係が良好でない人がいる

 子の間に経済格差がある人

 財産を渡したくない相続人がいる

 財産を多く渡したい相続人がいる

 財産の大半が自宅など分けられないものである

 特定の財産を特定の相続人に渡したい

 相続税シミュレーションに基づき相続させたい

 相続税の申告が必要になりそう

 お墓をどうするかで揉めそうな人

 婚外子がいる 

 面倒を見てくれた子がいる 

 妻(又は夫)の生活が心配な人

 妻(又は夫)だけに財産を相続させたい人

 障害を持つ子のために財産を遺したい人 

 一部の子だけに生前贈与をしている人

 事業をしている人

 上場していない会社の株式がある人

 会社を経営して後継者が決まっていない人

 アパート・マンションを経営している人

 国際結婚をした人

 自分の財産をしっかり把握できてない人

 先祖名義のまま残っている土地や財産がある人

 連帯保証人になっている人

 

遺言書の有無でこんなに違うとは!

ケース別 遺言書のない相続 vs  遺言書のある相続

子どもがいない夫婦

遺言書のない相続

たとえば子のいない夫婦で夫が亡くなった場合、夫に兄弟姉妹がいれば、兄弟姉妹も法定相続人となります。兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば甥姪が法定相続人となります。

遺言書がないと妻は夫の兄弟姉妹や甥姪と遺産の分け方について話し合う必要があり、場合によっては法定相続分を渡さなくてはいけません。

遺言書のある相続

遺言書を作っておけば、兄弟姉妹やその甥姪には遺留分侵害額請求権がないため、遺産分割協議での話し合いを回避してすべて妻に相続させることができます。

再婚して前婚の子がいる人

遺言書のない相続

たとえば再婚の夫で先妻との間に子がいる人が亡くなった場合、先妻には相続権はありませんが、先妻との子には相続権があります。

遺言書がないと、再婚後の家族と先妻との子が遺産の分け方について話し合う必要がありますが、見知らぬ者同士なので精神的な負担が重くなります。

遺言書のある相続

遺言書があればこの話し合いをしないですみます。先妻との子の遺留分に配慮した内容にしておけば、遺留分侵害額請求で揉めるリスクも軽減できます。

お嫁さん(お婿さん)に財産を分けてあげたい人

遺言書のない相続

お嫁さんやお婿さんは法定相続人ではないため、財産を相続する権利がありません。(民法改正でお嫁さんやお婿さんが寄与料を請求できる制度が新設されましたが、特別の寄与が認められるための要件が厳しい上に得られる金額も十分ではありません。)

仮に遺産を渡した場合、相続ではなく贈与であるとして贈与税の対象となります。

遺言書のある相続

遺言書でお嫁さんやお婿さんに財産を遺贈する旨を書いておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。

相続税の対象となりますが、贈与税に比べて税額を抑えられます。

孫に財産を分けてあげたい人

遺言書のない相続

子が既に死亡しているケースや孫と養子縁組をしているケースを除き、原則として、孫は法定相続人にはなりません。

仮に遺産の一部を渡した場合、相続ではなく贈与であるとして贈与税の対象となります。

遺言書のある相続

遺言書で財産を遺贈する旨を書いておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。

相続税の対象となりますが、贈与税に比べて税額を抑えられます。

知人や友人、お世話になった人に財産を分けてあげたい人

遺言書のない相続

お世話になった友人やルームメイトなどに財産の一部をあげたいと思っても、血縁関係にない人には相続権はありません。

仮に遺産の一部を渡した場合、相続ではなく贈与であるとして贈与税の対象となります。

遺言書のある相続

遺言書で財産を遺贈する旨を書いておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。

相続税の対象となりますが、贈与税に比べて税額を抑えられます。

寄付をしたい人

遺言書のない相続

自分の死後、残った財産の一部を学校やNPO、自治体などに寄付するよう誰かに頼んでいたとしても、法定相続人がいれば遺産分割協議の決定が優先されるため、その希望が叶うかどうかは分かりません。

遺言書のある相続

寄付する旨を遺言しておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。(寄付先の受入体制の確認は必要)。

籍を入れていない夫婦

遺言書のない相続

事実婚や内縁関係、同性婚など籍を入れていない夫婦のどちらかが亡くなった場合、相手方には相続権が一切ありません。

遺言書のある相続

相手方に遺贈する旨を遺言しておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。

独身の人・身寄りのない人

遺言書のない相続

独身の人が亡くなると、親や兄弟姉妹がいれば法定の順位に従って法定相続人が決まります。兄弟姉妹が亡くなっていればその甥姪が相続人となることもあります。

身寄りのない人の場合、「特別縁故者」として家庭裁判所に申し出た人に対して財産を与える制度がありますが、ほとんど利用されていません。通常は、相続人の不存在という手続きを経て、最終的にその人の財産は国庫に帰属することになります。

遺言書のある相続

遺産が疎遠な法定相続人や国庫へ渡るのを望まないなら、自分の希望する相手先に財産を遺贈する旨遺言しておけば、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で自分の希望に沿った財産分けができます。

ペットの世話が心配な人

遺言書のない相続

自分の死後のペットの世話を誰かに頼んでいたとしても、きちんと世話をしてくれるかどうかはその人次第。運任せの要素があるのは否めません。

遺言書のある相続

運任せの要素を減らすには、財産をあげる代わりにペットの世話をしてもらうよう遺言する方法があります。

ペットの世話には費用がかかります。遺言で資金を手当てしておけば、世話を頼まれる側も安心です。

MEMO
ただしこの方法も相手次第の面があり万全ではありません。より確実な方法として最近では信託の仕組みを利用した方法があります。ただし費用が高額なので利用しにくいのが現実です。

趣味のコレクションや骨董品がある人

遺言書のない相続

趣味のコレクションや骨董品も相続財産に含まれます。誰が相続するのか、遺産分割協議で話し合うことになります。

こうした品は売却にあたって思ったほど経済的価値がない場合があります。処分費や維持費がかかることも多いです。

故人の思い出の品であり、それをめぐって予想外の争いが起こる危険もあります。

遺言書のある相続

遺言書を書いて、その価値が分かる人に相続させる又は遺贈するとしておけば安心です。

維持管理に必要なお金も一緒に遺すことができます。

相続人に知的障害・精神障害を持つ人がいる

遺言書のない相続

相続人全員で遺産分割協議を開催して財産の分け方を決定します。

遺産分割協議は法律行為の一種ですのでそれを行うに足る「意思能力」を求められます。意思能力のない人が参加して行われた遺産分割協議は無効です。

意思能力…個々の法律行為の結果を正しく認識し、それに基づき正しく意思決定をする能力
知的障害・精神障害の程度によっては意思能力が欠ける場合があります。そうなると遺産分割協議を有効に開催できません。
後見人が代理となって遺産分割協議を行うこともできますが、後見人を決める手続きに2~3ヶ月はかかります。またいったん後見人を付けると原則的にはその方が亡くなるまで後見が続くため、後見人報酬の支払いが多額となることもあります。

遺言書のある相続

遺産分割協議を開催せずに済むため、円滑な遺産分割が可能です。

相続人に認知症の人がいる

遺言書のない相続

相続人全員で遺産分割協議を開催して財産の分け方を決定します。

遺産分割協議を行うにあたってはそれを行うに足る「意思能力」が求められます。意思能力のない人が参加して行われた遺産分割協議は無効です。

認知症の程度によっては意思能力が欠ける場合があります。そうなると遺産分割協議を有効に開催できません。

後見人が代理となって遺産分割協議を行うこともできますが、後見人を決める手続きに2~3ヶ月はかかります。またいったん後見人を付けると原則的にはその方が亡くなるまで後見が続くため、後見人報酬の支払いが多額となることもあります。

遺言書のある相続

遺産分割協議を開催せずに済むため、円滑な遺産分割が可能です。

相続人に音信不通の人がいる

遺言書のない相続

相続人全員で遺産分割協議を開催して財産の分け方を決定します。

音信不通や行方不明で連絡の取れない相続人がいるとき、その人を欠いた遺産分割協議は無効です。

7年以上生死不明であれば、家庭裁判所に失踪宣告をします。認められれば死亡とみなされその人を除いて遺産分割協議をします。その以外では、家庭裁判所に申し立てて、代理で遺産分割協議に参加する不在者財産管理人を置きます。

失踪宣言には半年程度、不在者財産管理人の選出は少なくとも3ヶ月かかり、その間は財産分けができません。

遺言書のある相続

遺産分割協議を開催せずに済むため、円滑な遺産分割が可能です。

相続人に未成年者がいる人

遺言書のない相続

相続人全員で遺産分割協議を開催して財産の分け方を決定します。

未成年者は遺産分割協議という法律行為ができません。

遺産分割にあたって未成年者と親権者が利益相反関係になければ、親権者が未成年者の代理で遺産分割に参加できるので、さほど問題はありません。

しかし未成年者と親権者が利益相反関係にあれば、未成年者の代わりに特別代理人が遺産分割協議に参加する必要があります。家庭裁判所での特別代理人の選出手続きに1か月程度かかります。

遺言書のある相続

遺産分割協議を開催せずに済むため、円滑な遺産分割が可能です。

シングルマザー・シングルファザー

遺言書のない相続

たとえば離婚したシングルマザーが亡くなると、子どもの世話は子どもの父や祖父母がみることになります。

遺言書がないと、子の世話を誰がするのかは遺族の話し合いで決めることになります。誰になるかは分かりません。

遺言書のある相続

遺言書では子の法定の代理人である未成年後見人を指定することができます。

遺言書で指定しておけば、母親が死亡すると直ちにその人が未成年後見人になります。

子どもの世話を誰がみるかは財産分け以上に重要な問題です。遺族の話し合いに委ねるよりも、その子のことを一番よく分かっている母親が遺言書で予め指定しておくべきでしょう。

相続人に海外に住んでいる人がいる

遺言書のない相続

相続人全員が参加して遺産分割協議を開催する必要があります。

遺産分割協議は必ずしも物理的に一堂に会する必要はありません。オンライン会議や書類の持ち回り、同一の書類を相続人全員に送付する方法も可能です。そのため相続人が海外や遠方に住んでいても、遺産分割協議自体は開催できます。

しかしオンラインや郵送による方法では相続人間のコミュニケーションや署名捺印および印鑑登録証明書の収集が手間となります。相続人の人数が多かったり、相続人の中に非協力的な人がいると上手く進まず苦労します。

また海外在住の相続人は、遺産分割協議書の添付資料となる印鑑登録証明書を取得できません。代わりに滞在国の在外公館に出向いてサイン証明を取得しますが、その取得手続きは印鑑登録証明書の場合よりも格段に手間がかかります。

遺言書のある相続

遺言書があれば遺産分割協議を行う必要がありません。

海外在住の相続人との書類のやり取りやサイン証明の取得などを回避できるので、遺産分割を円滑に進めることができます。

自分や他の相続人との関係が良好でない人がいる

遺言書のない相続

遺産をどう分けるかについて相続人全員で話し合う必要がありますが、その際に揉める危険があります。

それまで仲の良かった家族でも遺産分割協議をきっかけに揉めることが多いのに、すでに不仲が表面化しているケースでは争族リスクは格段に高くなります。

遺言書のある相続

遺産分割協議を開催せずに済むため、円滑な遺産分割が可能です。

遺留分に配慮した内容にしておけば遺留分侵害額請求でトラブルになることもなく、相続が泥沼化するリスクを引下げられます。

子の間に経済格差がある人

遺言書のない相続

遺産をどう分けるかについて相続人全員で話し合う必要があります。

子の間に経済格差がある場合、法定相続に従って財産を平等に分けるのは公平ではありません。では公平に分けようと思っても、これが難しい。公平は主観的な概念なので、正解がないからです。それぞれの子が自分にとっての公平を主張すると収拾が付かなくなり、揉める結果になります。

遺言書のある相続

遺言書があれば遺産分割協議で話し合う必要がありません。財産の所有者である親が決めた分け方が公平だと皆が納得すれば揉めずにすみます。

MEMO

子の間にさほど経済格差がなくても、相続で揉めるリスクはあります。財産の問題が愛情の問題にすり替わることがあるからです。遺産を当てにしなくてもいいはずの子が、親の愛情を受けていたことの証明として自分の取り分を譲らない、ということがあります。子が複数いるなら、遺産分割で揉めないために遺言書を作っておくのが安心です。

財産を渡したくない相続人がいる

遺言書のない相続

遺産をどう分けるかについて相続人全員で話し合う必要があります。

遺産を渡したくといっても、法定相続人が合意しなければ、遺産分割協議書に判を押してくれません。一人でも反対すれば協議はまとまりません。

家庭裁判所での調停でもまとまらないと、審判になります。

審判では原則として法定相続分となり、それに従わなくてはいけません。

遺言書のある相続

遺言書を書けば、財産の分け方を自由に指定できます。

ただし、きょうだいを除く法定相続人には最低限の取分として遺留分が認められています。

遺留分を無視した遺言書で遺産を分割したとしても、遺留分侵害額請求があれば、結局は遺留分は支払わざるを得ません

遺留分侵害額請求をきっかけに家族が断絶することもあります。

予め遺留分に配慮した遺言書を書くことで、特定の相続人の取り分を最低限に抑えつつ、遺族が相続トラブルに巻き込まれるリスクも軽減できます。

財産を多く渡したい相続人がいる

遺言書のない相続

遺産をどう分けるかについて相続人全員で話し合う必要があります。

特定の相続人に多く相続させたいといっても、法定相続人が合意しなければ、遺産分割協議書に判を押してくれません。一人でも反対すれば協議はまとまりません。

家庭裁判所での調停でもまとまらないと、審判になります。

審判では原則として法定相続分となり、それに従わなくてはいけません。

遺言書のある相続

遺言書を書けば、財産の分け方を自由に指定できます。

ただし、きょうだいを除く法定相続人には最低限の取分として遺留分が認められています。

特定の相続人の相続分を多くすることによって別の相続人の遺留分が侵害されるときは注意が必要です。

そのような遺言書を作ったとしても、後に遺留分侵害額請求があれば、結局は遺留分を支払わざるを得ません。

遺留分侵害額請求をきっかけに家族が断絶することもあります。

特定の相続人に多く相続させたいときは、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲の分割案で遺言書を作成するのが得策です。

財産の大半が自宅など分けられないものである

遺言書がない場合

財産の大半が自宅という相続は、遺産分割で揉める危険性が高いです。

不動産が複数あるならまだしも自宅のみであれば、分けることができません。

相続人の一人が自宅を相続し、他の相続人は残った遺産を相続する、あるいは代償金をもらって清算することになります。

このとき賛成しない相続人が一人でもいれば協議はまとまりません。

自宅の評価額次第で代償金の金額が変わるため、高額な不動産鑑定が必要になることもあります。

納得しない相続人から遺留分侵害額請求がなされれば、精神的にも負担となるのはもちろん、自宅を相続した相続人に遺留分を支払う資力が無いと自宅を売却して資金を工面することもあります。

相続税の納税が必要な規模の相続であれば、相続税の納税は現金一括払いが原則なので、納税ができない事態に陥ってしまう危険もあります。

遺言書がある場合

遺言書があれば、自宅の相続で揉めるリスクを引き下げられます。

遺言で自宅を相続する人を指定しておく。できればその理由も付言事項に書いておく。自宅を相続しない他の相続人がなるべく不満を感じないように配慮した内容にします。

自宅を相続させる相続人に資金的な余裕がないときは、相続税の納税や遺留分の支払が必要になった場合に備えて、保険を使って資金を手当しておくことも考えられます。



特定の財産を特定の相続人に渡したい

遺言書がない場合

どの遺産を誰が相続するかは遺産分割協議に委ねられます。相続人全員が合意した分割案で決定されます。

特定の財産を特定の相続人に渡したいと望んでいても、遺産分割協議で一人でも反対する人がいれば、その願いは実現しません。口約束していても役に立ちません。

遺言書がある場合

遺言書があれば、原則的に遺言書の指示通りに財産を分けることができます。

例外的に遺産分割協議で遺言書に反した遺産分割を行うことも可能ですが、それには相続人全員の合意という厳しい条件があります。

仮に遺産分割協議で分けることになったとしても、遺言書が協議のたたき台として機能することも多いです。

特定の相手に確実に渡したい財産があるなら、遺言書で指定しておくに越したことはありません。

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