遺産分割協議でモメないコツ その一 平等よりも公平

遺産分割でモメる原因の一つに、「平等」の基準が各相続人で異なることがあります。

遺産を平等に分けること自体に異を唱える人はあまりいません。ただ、何をもって平等と考えるか、という点が人によって異なる場合が多いのです。自分が考える「平等」を絶対的な基準として譲らないとモメる原因になります。自分にとっての平等は他の相続人にとっての平等とは違うかもしれない。そのことを頭の片隅において話し合いを進めるのがよいと思います。

やっかいなのが法律による平等です。法定相続分どおりに分けることを平等と信じて疑わない人がいます。民法という法律に基づいているのだから間違いないと思うのでしょう。でも、ここで注意が必要です。遺産分割において法定相続分は「目安」に過ぎません。遺産分割協議の場面において、それが必ずしも正解というわけではありません。

民法では、各法定相続人が相続する割合を次のように規定しています。

配偶者の相続分 配偶者以外の相続分
配偶者と子が相続人になるとき 二分の一 二分の一
配偶者と直系尊属(親など)が相続人になるとき 三分の二 三分の一
配偶者と兄弟姉妹が相続人になるとき 四分の三 四分の一

ここでは個々の事情がいっさい考慮されていませんね。現実の世界では、相続人の年齢や経済状況、置かれている立場などさまざまに異なります。相続財産の中には現金のような分けやすい財産もあれば不動産のような分けにくい財産もあります。こういった個々の事情を加味せず、機械的に法定割合で分けた場合、平等どころか、むしろ不平等な結果となることが多いのです。

遺産分割協議を円満に終えることを最優先するならば、個別の事情に十分配慮したうえでの平等を目指すべきでしょう。この場合に平等という言葉は紛らわしいので、公平と言い換えた方がいいかもしれません。円満な遺産分割協議には平等ではなく公平を」と声を大にして言いたいです。

もしあなたが遺産分割を主導するリーダーなのであれば、各相続人の家族構成や経済状況などを頭に入れたうえで、「その人が何をいちばん欲しいだろうか」という観点から分割案を考えてみましょう。その際に思い込みも危険です。できるならば、各相続人の今現在の希望をひとりひとりじっくり聞いてみるのがよいと思います。

円満な相続のために欠かせないとはいえ、公平な遺産分割は平等な遺産分割よりもはるかに大変です。特にリーダーの役割を務める相続人に負担が重くのしかかります。事務所に相談に来られた方々のお話を伺うとそのご苦労がよく分かります。先の見えない孤独な作業で疲れ果ててしまう前に、ぜひ一度相続に詳しい専門家に相談していただければと願っています。